川沿い音楽とジョニ・ミッチェルと

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    晩夏の夕暮れに似合う素晴らしい作品が入荷してきました。

    前職でアルゼンチンものを扱い始めた8、9年前くらいから、ことあるごとに「70s 米国で活躍の女性シンガー・ソングライターが持つ感性とアルゼンチンの川沿い音楽/フォルクローレ・ジャズ(リオプラテンセス)の瑞々しさとの共通点」というのをセールス・トーク(?)に用いてきたのですが、遂に出ましたアルゼンチンの女性シンガーによるフォルクローレ・ジャズ・タッチのジョニ・ミッチェル歌曲集! ここでいう70s 女性シンガー・ソングライターとは、ジョニ・ミッチェル、ローラ・ニーロ、キャロル・キング らのことを指します。中でも突出した透明感を誇るのがカナダ出身で絵描きとしての顔も持つジョニ・ミッチェルの音楽。

    Florencia Otero / Nocturno Mundo musicas de Joni Mitchel (アルゼンチン直輸入盤1,890円税込)

    '80年ブエノス・アイレス生まれのフロレンシア・オテロは10歳でピアノを学び始め、ヘネラル・サン・マルティン音楽院の叙情詩ヴォーカル科を卒業、ジャズやブラジル音楽の魅力に目覚めこれらを唄うインタープリーターであり、歌手養成のクラスを受け持つ講師としての仕事もしています。60年代末に登場、自身のアコースティック・ギターやピアノに唄のシンプルな構成のフォーク・ミュージックで幅広い支持を得たジョニ・ミッチェル。彼女の独特の譜割で唄われ印象を色濃く残すリリシズムと、アルゼンチンの多彩なフォルクローレ・リズムから派生する美しい旋律、この共通項、どちらも水の匂いを感じさせるその瑞々しい旋律。フロレンシア・オテロは詩的でナチュラリズムに即した自身の唄声を、多くのシンパシーを感じるジョニ・ミッチェルの初期キャリアと重ねあわせる事で初のアルバム作品として最善の表現をしています。レパートリーは4枚目の大傑作「ブルー」('71年)からが最も多く、タイトル曲に始まり、"river"、あの名曲"a case of you" などをブエノス・アイレスのジャズ・ミュージシャンたち... 繊細なタッチのピアノを聴かせるパウラ・ショクロンや、eギター、aサックスにクラリネット、ベースにマルティン・ロペス・グランデによるドラム、と川沿い音楽のフォーメーション、そしてゲスト奏者にサックスのロドリゴ・ドミンゲス、女性シンガーのメリーナ・モギレフスキー(彼女のソロも入荷してきてますので後日ご紹介差し上げます)らを迎え、ブエノス・アイレス流のジョニ・ミッチェルを。後にチャールズ・ミンガスらジャズのミュージシャンを交えてゆく布石ともシンクロした選曲となっており、フリー・ジャズにポエトリー・リーディングといったアヴァンな風情の"both side now"やヴォイス・インプロヴィゼーションの"the dry cleaner" などではドラムスの代わりにカホンが活躍したりも。

    試聴はhttp://florenciaotero.bandcamp.com/



    アルゼンチンの詩的なチャランゴ/ロンロコ奏者ソロ

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      さきほど再発されたキケ・シネシの「cuentos de un pueblo escondido」で、或いはその前の来日公演で、チャランゴやピッコロ・ギターの煌めきのなか微睡むような優しい響きに気付かされた人も多いのではと想像します。私もご多分に漏れず、もっとなるほどTheワールドといった土っぽい音楽での楽器と先入観を持っていました。

      Damian Verdun / aguarriba(アルゼンチン直輸入盤2,000円税込)

      キケ・シネシやリリアナ・フェリーペ、ラモン・アラヤ、ダニエル・ドレクスレルらと共演経験も豊富なチャランゴ/ロンロコ奏者の映像を喚起するように詩的な佇まいのソロ・アルバムが到着をしています。アルゼンチンはロサリオ出身の若き音楽家、ダミアン・ベルドゥンは父親もミュージシャンという環境に育ち、音楽講師、セッション・ミュージシャンとして活動、自らが心底惚れ込んだ複弦5コースのアルゼンチン/ボリビア発祥フォルクローレ楽器 - チャランゴ/ロンロコの可能性を広く探求しようと作り上げた初のアルバム。フレットレス・ベースのフェデ・ラモンダ、カホンなどパーカッションのビキ・ビルゴリーニとのトリオで、またはチャランゴ独奏で、或いはジセラ・ソーサやフアン・イニャキらゲスト・ヴォーカル、パブロ・フアレスのピアノなどゲスト・プレイヤーを曲毎に招いた多彩さでインストゥルメンタル音楽を主体に、親密で繊細な音色を紡いでゆきます。レパートリーもユニークで、ユパンキのチャカレーラに始まり、バーデン・パウエルのサンバ("O Astronauta")、たゆたうようなチャマメに、カルロス・アギーレの新鮮なコンテンポラリー・フォルクローレ歌曲("Pedacito de rio 1")、折り重なる構成音が瑞々しい水場の風景を想起させる自作に、タンゴ・クラシックの"Sur"など異なるリズム様式を用いながらも既視感をまったく抱かせない永遠のフレッシュネス、かといってアルバム全体できちんとコンセプチュアルに魅せるその表現。素晴らしいのひとことにつきます。

      Damian Verdun の MySpace →


      先行販売開始!

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        昨日の浜松町・文化放送サテライトプラスLIVE! にてキャバレー・ジャズのバンド - フェムエフェムのライヴをご観覧、CDをお求めいただいた皆さま、ありがとうございました。お子さんやお勤め帰りのかた、通り掛かりの皆さんのご反応、端から見ていても新鮮でした。

        <8.31 release>
        Andy Summers & Fernanda Takai / Fundamental
        Tulipa Ruiz / Tudo Tanto

        本日より先行販売を開始!

        弊社web通販にてご注文いただいたお客様へは発送を開始しております。また神楽坂・大洋レコード店頭にても関連商品と共に陳列を開始、お求めいただけるようになりました。よろしくお願いします。

        Taiyo Record のMySpace アカウントにそれぞれ2曲ずつ試聴できるようアップしました!



        そして昨日の夕刻にアルゼンチンから入荷がありました。sold out となっておりました以下の商品が再入荷となっております。

        Alisa Kaufman / El rio canta
        Liza Casullo / Velvet Bonzo
        BIchofeo Trio / Bichofeo Trio
        Luna Monti y Juan Quintero / el matecito de las siete


        PR

        大洋レコードは東京・神楽坂のセレクトCDショップです。

        ブラジル・アルゼンチンの現在のインディペンデントなシーンからの輸入盤CDを中心にお取り扱い。

        東京都新宿区赤城下町10-10 東京メトロ東西線神楽坂駅1b出口3分。

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        が定休日です。 2022年5月26日、大洋レコード&Delicatessen として移転 OPEN。 11時〜18時の店舗営業、(土曜は14時~18時)。毎水曜・日曜・祝日定休とさせていただきます。

        03-3235-8825


        WEB通販はオフィシャル・サイト taiyorecord.com にて


        * information

        [以下の音楽雑誌に店主が寄稿しました]


        「ミュージックマガジン」ミナス特集にレコード・レビューを寄稿予定。(2022/6)


        FI MAROSTICA / VISÃO DO MAR (RCIP-0321 2021.6.30) ライナーノーツ


        ラティーナ2月号 (2020/1/20発売)

         

        「20年代はこの国の音楽に注目したい」


        e-magazine LATINA 「いま最も輝ける存在、サンパウロの女性シンガー、ヴァネッサ・モレーノへのロング・インタヴュー」(2022年2月23日)


        [国内盤リリースのご案内]

        Flor Sur Cello Trio, Airena Ortube & Julian Beaulieu / Un Solo Jazmin (大洋レコード国内盤CD 2022.7.23発売)好評発売中!


        SALOMÃO SOARES & VANESSA MORENO / YATRA-TÁ (TAIYO0041 2022.2.28) 好評発売中!


        VANESSA MORENO / SENTIDO (TAIYO0040 2021.6.26) 好評発売中!


        Carlos Aguirre / Canciones I 譜面集 46p(TAIYO0039 2020.12.26) 好評発売中!


        TINCHO ACOSTA (TAIYO0038 2020.8.28) 好評発売中!


        CHICO BERNARDES (TAIYO0037 2020.7.31) 好評発売中!


        MERY MURUA & HORACIO BURGOS / ROBLE 10 AÑOS (TAIYO0036 2020.6.13 release 限定盤) 好評発売中!


        ENSAMBLE CHANCHO A CUERDA / POSDATA (TAIYO0035 2018.12.22 release 限定盤) 好評発売中!


        FERNANDA TAKAI / O TOM DA TAKAI (TAIYO0034 2018.6.5 release) 好評発売中!


        TULIPA RUIZ / TU (TAIYO0033 2018.3.15 release) 好評発売中!


        PATRICIO PIETREK GRUPO / PAJÁRO AZUL(TAIYO0032 2017.12.04 release)

        好評販売中!


        ryosuke itoh e shiho - minha estrada (TAIYO0031 2017.6.24 release)

        販売中!


        [メディア情報]

        2022/5/31 (火) 15時 TOKYO FM 「The TRAD」 (パーソナリティ:稲垣吾郎) 生出演。初夏・新緑に似合うブラジル音楽を紹介させていただきました。


        2022/1/28 (金) 7:20分頃~ 放送予定 フジテレビCX系 『めざましテレビ』"なにわ男子のなんでやねん!" にて、長尾謙杜(なにわ男子)さんにブラジル・アルゼンチン音楽専門店 - 大洋レコードを取材していただきました。


        [記事掲載のご案内]

        2024年2月20日発売 雑誌「MINA(ミーナ)」4/5月号 "TOKYO MANIAC SHOP探訪"に大洋レコードの記事をご掲載いただいております。


        2022年12月 雑誌(ZINE) WAVE vol.2 “めくるめくCDの世界” 雨と休日さんやsnsでお見かけする100円CDディガーに8cm CD専門dj...錚々たる面々に混じって取材記事をご掲載いただきました。

        2021年11月20日発売、雑誌「散歩の達人12月号」神楽坂・飯田橋特集に当店が掲載されました!前回の掲載から何と8年ぶり、通算3回目の登場となります。


        2020年7月フリーペーパー 「新宿プラス vol.12」 #音楽のまち新宿 #武田真治 #saxplayer にご掲載いただきました。


        体験型アミューズメント・キッザニアの広報記事「キッザニアの窓」に大洋レコード伊藤のインタビュー記事とおすすめタイトルをご掲載いただきました。

        「親子で楽しむ、はじめての音楽」Vol.3 南米音楽



        女の子のスポーツライフをもっとファッショナブルに。「HBハミングバーズ」2018 Summer vol.14 に"Playlist for Summer"としてオススメ5作品の小さなレヴューを書いています。


        5/9発売 「POPEYE 6月号 "僕たちの好きな音楽。"」にて大洋レコードが掲載されます。川沿い音楽の取材も受けました。


        2018年1月末、神楽坂のアップデイトされた情報が満載の「帰ってきた!神楽坂本」(エイ出版)が発売されました。今回は"Culture 文化"のページに大洋レコードをご掲載いただいてます。ぜひ街ぶらショッピングのお供に。


        ひとまちっくす神楽坂「南米音楽と横浜ベイスターズと私。大洋レコードの伊藤亮介さん。」


        NUMBER WEB "野次馬ライトスタンド" 「ベイ戦士よ、ブラジル音楽を聴け!東京の路地裏から愛を込めて。」


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