トム・ジョビンのバックを経て、「Jobim Sinfonico」でラテン・グラミーも受賞。ギター奏者としてのみならず、アレンジャーとして、コンポーザーとしても世界クラスの評価を得ているマリオ・アヂネーが新作を発表。木管奏者エドゥアルド・ネヴィス(ts, ss, flute)やマルコス・ニムリシュテール(p)、ジョルジ・エウデル(b)らの参加を仰ぎ、サロン・ミュージックとしてのショーロをコンテンポラリー・ジャズの手法で優雅に体現した書き下ろしのコンポジションから、ジョアン・カヴァルカンチ(vo, カズアリーナ)との共作共演m-6"Valsa do baque virado"、トニーニョ・オルタ作m-7"Viver de amor"のフリューゲルホルンを含んだ新解釈、エドゥアルド・ネヴィスのソプラノ・サックスがメランコリアを振りまくm-8"Chorojazz"、'01年の作品に収録された楽曲をトリプル・ギター(eg x2 + gut )のアンサンブルで編み直したm-9"Sambaqui"、ガーシュインのジャズ・スタンダードにブラジル流の解釈を施したm-10"Caravan"まで、中盤から畳み掛けるように豊穣なブラジル音楽の醍醐味が詰まった作品。
'89年ブエノス・アイレス市内生まれのコンポーザー/ピアノ奏者/女性S.S.W.ガビー・エチェバリア。ブエノス・アイレスの音楽学校EMBAにてポピュラー歌唱を学んだのち、新世代のタンゴを提示するディエゴ・スキッシにピアノとコンポジションで師事を受けたガビーは、ジャズと川沿い音楽/コンテンポラリー・フォルクローレを溶け合わせたパフォーマンスで、国内外にて高い評価を受けてきた人物。3作目となる本作では、アカ・セカ・トリオからマリアノ・"ティキ"・カンテーロ(drs, cho) のほか、キケ・コンドミ(vln)率いる室内楽オーケストラにメルセデス・モレロ(fagot)らが参加、m-9"Silencio"などで純度の高いピアノを弾きながらの歌唱に彩りを添えています。ムルガのm-5"Male"やカンドンベのm-8"Anda y anda"などコケティッシュに跳ねる旋律が、水の流れを彷彿とさせる川沿い音楽からのリズムとジャズのエッセンスで洗練されたハーモニーの融合。これはかつての70年代初頭、自身で綴った言葉とジャズのエッセンスを融合させたジョニ・ミッチェルの傑作「BLUE」のことを思い出さずには居れません。ホルヘ・ファンデルモーレの楽曲をキッチュなポリフォニー仕立てにしたm-6"Vidala de las estrellas"、m-11リト・ネビア作"Sólo se trata de vivir" をボサ・ノヴァ調にしたカヴァーも秀逸。