クチ・レギサモン"La Arenosa" やレダ・バジャダレス"Con Luchillo de Palo"を取り上げていることからもわかる通り、目指すところは正攻法のアルゼンチンらしさが滲むフォルクローレ。チャカレーラやビダーラをはじめとするルーツ・リズムにピアノの生音やギターのアルペジオでコンテンポラリーなヴォイシングを施し、m-8"Canción del jangadero" ではマルチ木管奏者のファクンド・インティ・モレノやチェロに持ち替えたベース奏者のパブロ・ペラルタらによる室内楽調に色付けされた流麗なアンサンブルも聴かれます。木管の多重録音でジャズ・タッチな編曲が施されたインストm-9"Gral. paz y panamericana"、そして川沿い音楽のムードを孕んだ瑞々しいm-3"Pina"、m-4"Barquito"、m-10"Candombe de la montañita"は聴きどころ。
CDアルバム「Ela e o mar」でパーカッションの叩き唄いからクアトロ弾き語りという新境地を迎え、芳しいフォルクローレ歌曲を披露してくれたアルゼンチンの女性S.S.W. マリアナ・マセット。ヨガの先生でもある彼女は本製品の封入チラシにあるように、体を用いた発声とヨガに関しての本も出版しています。この7インチ33回転アナログ・レコードEPでは、A-1"Narciso"がアリエル・ガトとの書き下ろし曲で、キト・ガトのバロック・ギターも参加、まるでユパンキの時代を彷彿とさせるヴィンテージな雰囲気のチャカレーラ(リズム様式ではガトだそうですが、二番の開演を告げる掛け声といいチャカレーラと信じて疑いませんでした)となっています。A-2"Jaguar del monte"、セシリア・トッドのヴァージョンも有名なB-1"Cuando la mar, la mar"はCD「Ela e o mar」からのシングル・カット。7インチ33回転で3曲や4曲収録というフォーマット、昔のフランスものに多くありましたね。そのアーチストを知るに片面7分 x2 で最長14分、このレギュレーションにも思い焦がれます。