タチアナ・パーハw/ヴァルダン・オブセピアン、アンドレス・ベエウサエルトw/フアン・パブロ・ディ・レオーネ観覧記 + フォルクローレ・モデルノを地で行く新譜ニコ・セルコラ

0
    当日の直前まで行くことが適うのかどうかを迷っていたのですが、あくまで目的はショーのコンテンツ(対象物)を自分が観たいかどうかということだ、と思い直しまして、目黒パーシモン・ホールに赴きました。結果から先にいうと本当に見ておいて良かったと思います。サンパウロの女性シンガー、タチアナ・パーハに関しては個人的にも実は生で会うのも初めてでして、感動したことを直に伝えねばと思いサイン会の列に並んで自社製品にサインを頂きました。

    アルメニアのピアノ奏者ヴァルダン・オブセピアンとのデュオ名義で出演したショーでしたが、2曲目からタチアナ・パーハが登場してスキャットを始めると、凛として澄み渡った声とピアノの織りなすハーモニーに空気が弾けるようでした。レパートリーはギンガ、坂本龍一、ヴェント・エン・マデイラのチアゴ・コスタが作った曲、そしてミルトン・ナシメントの"Anima"まで、自分たちのアルバムには収録されておらず、このショーの為に準備したか、あるいは今後を見据えて選び抜かれた曲たち。場内には弊店をご利用いただくお客様も多くいらっしゃっていて、会う人会う人に「凄かったですね」「凄かったですね」と恐らくは10回以上言っていたのではないでしょうか。ヘニング・シュミットの森林の風景が浮かぶようなハーモニーと和むようなトークを交えたソロ・ピアノを挟んで、アンドレス・ベエウサエルト。音の感じからしてきっと繊細な人柄かと思っていたら、紙を無くしたなどと一々所作がユーモラスで意外でした。演奏は「Dos Rios」からの楽曲にアドリブを加えたハイパー運指が鮮やかで、ポルトガルのマリオ・ラジーニャの楽曲もプレイしてました。フルート奏者フアン・パブロ・ディ・レオーネを呼び込んでからは、フアン・パブロのアルバム「Sin Palo」でも採り上げられているウーゴ・ファットルーソ曲なども披露、両名どちらの作品にも登場するカルロス・アギーレ作の"Milonga Gris"では後半で斬れたインプロヴィゼーションに発展し、まるでどこまでも階段を駆け上がっていくかのような魂の演奏を見せてくれました。サプライズはその後、まさかのタチアナ・パーハ再登場でアンドレス、フアン・パブロと共に「Inteira」収録の"Vento Bom" を披露、思わずこぼれ落ちる涙を止めることができませんでした。間奏のソロ・パートからは連弾でヴァルダンも参加、最後はエドゥアルド・マテオの曲で大演壇へと。改めて、タチアナ・パーハはホンモノだと思いました次第です。でなければあれほど多くの作品に呼ばれていませんよね。
    終演後、久しぶりにラティーナの皆さんと杯を酌み交わせたのも有意義でした。そして帰途のなか血糖値を上げる為に立ち寄った高田馬場の末廣(秋田ラーメン)で偶然にも渡辺貞夫さんのラジオ番組にてエルメート・パスコアルが掛かっていました。

    繊細さと叙情を持ち合わせたサンビスタ、アルフレード・デル・ペーニョ。二枚同時リリースの歌モノの方

    0
      いよいよ冬へと駆け出そうというこの頃ですが、当店ではクリスマスに穏やかなサンバをオススメします。パーティや食事の時間を盛り上げること必至です。というわけで先月、小編成サンバと室内楽を融合させたアルフレード・デル・ペーニョのインスト・アルバムが入荷しましたが、同時リリースとなっている歌モノの方をお届けします。

      ALFREDO DEL-PENHO / SAMBA SUJO (ブラジル直輸入盤 2,037円+税)
      ラパのシーンに登場して以来、ペドロ・パウロ・マルタとのデュオや錚々たる面子とのサンバ・ヂ・ファトなど倍音を含んだ魅惑的な歌声でこの10年ほど注目を集めてきました。同時リリースとなったインスト集の方では、コンテンポラリーなシーンも見据えたかのようにスキャットを交えた室内楽アンサンブルとの新鮮なサンバを展開しましたが、こちらの歌モノでは自身が聴き込んで、歌い込んで敬愛する先達たちの楽曲をフレッシュに表現しています。アルフレード自らが7弦ギターやカヴァコにバンドリンを弾き歌い、クレジットを見渡せばサンバ・ヂ・ファトの同胞でもある打楽器奏者のパウリーノ・ヂアス、ガフィエイラ・ジャズの先駆者のひとりでもある木管奏者のエドゥアルド・ネヴィス(flute,ts)、フイ・アルヴィン(cl)、そしてジョアン・カラード(cavaquinho)に、コーラスでマルコス・サクラメント、モイゼス・マルケス、ペドロ・パウロ・マルタと同世代のサンビスタたちが勢ぞろい。ヴァレリア・ロバォンまで名を連ねています。繊細さと叙情を持ち合わせた歌い回しとショーロ的なまろやか編曲で、例えひとむかし前の楽曲だとしても、それを感じさせないフレッシュネスな空気を孕んだ15曲は、クララ・ヌネスが歌ったm-8"Moeda"、ジョアン・ノゲイラが歌ったm-7"Alem do espelho"、シロ・モンテイロが歌ったm-13"Garota Porongondons"に、「サンバは唯ひとつの音楽のジャンルに留まらないんだ。お互いに関わって実践することで人生がサンバそのものになるんだ。」というメッセージが込められたカルトーラのm-15"A cor da esperanca"までの珠玉レパートリーと、自作曲や近年惜しくも亡くなったデルシオ・カルヴァーリョとの共作曲m-10"Saudade em paz"、同世代でオルケスタ・インペリアルでも活躍するフビーニョ・ジャコビーナ作のm-4"Meio Tom" といった新しいエッセンスが違和感なく混じり合う、そんな作品です。初のソロ名義となる本作とインスト作「Pra Essa Gente Boa」はクラウド・ファウンディングで制作されましたが、そのなかで最も大口の寄付がシコ・ブアルキからあったというのがまた粋なはなし。
       


      グヂン、ハシント、直近売れ筋の2W再入荷+幻想的な短編小説のようなリオ・ネグロ出身のS.S.W.マティ・ペレス入魂の一作+出版物小売業考察・雑感

      0

        今週は恐るべき健康診断(数年ぶり3度目)を経験し、近所のかもめブックスで購入した「本が売れないというけれど」永江朗・著を読了したりもし、朝ドラでは両替商を廃業した宮崎あおい一家が和歌山に移って農家として一本立ちしたいと言い出したり、(これは蜜柑農家としての成功への付箋か)商売・仕事のあり方について色々と考えさせられる週でした。「本が売れないというけれど」に書かれている内容は、出版不況と同様かそれ以上に囁かれることの多い音楽不況、とりわけCDという製品にも当てはまることが多いように思いました。純利の低さでいえば書籍ほどではないにしろ、円安の煽りをくっている輸入盤はすべて買取、卸したとしても返品条件が必須の自社出版物(ライセンス盤)。テナントという形態で店を構える以上、ただ取次などから仕入れて売るだけでは立ち行かない現状を克明に記してあります。一方でその前に読んだのが、昨今独立された京都の恵文社一乗寺店の店長・堀部篤史さんが書いた「街を変える小さな店」。このひとの素晴らしいのはギャラリーの併設や古書の扱いなどの"僕はこうした”という話のみに留まらず、左京区周辺の興味ふかい試みを続ける同業・他業種のお店さんにも取材をして、本の中で紹介している点です。物販小売業の先行きは現政権下において決して明るくはないですし、目先のものに囚われがちな東京の街が路地にある零細専門店企業に何かを施してくれるとも思いませんが、工夫次第で商いの道を拓く方法はあるのだということ。我がDeNAベイスターズが取り組んでいるように、まずはインフラの整備が最優先だとは分かっているのですが、先立つものが何もないので日々出来ることを少しずつするしかないんです。そんなこんなが堂々巡りしております。

        さて切り替えて、直近のひと月ふた月で動きのすこぶる良かった2タイトルが再入荷をしてまいりました。先述の書店の話とも被りますが、こうやって自分で仕入れの商品を選択できる自由がありがたくもあります。しかし、突如絶版になったりすることもありますので、迷ったらまず購入をお勧めします。
        [再入荷案内1]
        日本でも多くのボサ・ノヴァ好きを魅了するサンパウロのコンポーザー/ギター奏者/S.S.W.エドゥアルド・グヂン。ギターやピアノといった生楽器の気品高い上質な響き、優美なメロディと混声ハーモニー、代わる代わる登場するゲストや打・弦楽器の個性、全編を通して貫かれた美意識が息づく必携のブラジル音楽作品。クリスマス・シーズンによく似合います。


        EDUARDO GUDIN & NOTICIAS DUM BRASIL 4

        [再入荷案内2]
        '81年生まれでブエノス・アイレスを拠点に、ジャズからロック・レジェンドのバックにS.S.W.ものの客演に至るまで縦横無尽に活躍を続け、いま席巻しつつあるピアノ奏者のエルナン・ハシント。ジャズ・モードに振れていた前作「LUA」からすると、より壮大なオーケストレーションの監督兼作家という立場を楽しみながら作っているのが目に浮かぶようなソロ2作目のコンテンポラリーなインストゥルメンタル作品。

        HERNAN JACINTO / CAMINO


        [新入荷案内]
        今日の新入荷はBsAsインディ・シーンのカリスマ、リサンドロ・アリスティムーニョや、ゆったりとしたチェンバー・ポップが魅力的なパラモのフェデ・ファルコンらと同郷、リオ・ネグロの小さな村で'89年に産声をあげたシンガー・ソングライターが国立ビジャ・マリア大学で作曲を学んだのち、手間と時間を掛けて丁寧に作り込んだアルバム。カルロス・アギーレ・グルーポでもお馴染みのフェルナンド・シルバ(b)やフェデ・ファルコン(vo)、素晴らしいデュオ作を発表しているS.S.W.のルーカス・エレディア(per)も参加し、コンテンポラリー・フォルクローレとメランコリーなアコースティックS.S.W.ものの折衷をいくような不思議な立ち位置の作品で、聴きこむほどに味が染み込んできます。

        matias perez / luz serena (アルゼンチン直輸入盤 2,389円+税)

        ナチュラルなクルーナーで、ゆったり時の流れるパタゴニアの平原を愛でる風と心を通じ合わせるように唄い、ギターを弾く。ギターだけでなく、チェロやドラムスにep、エレクトロ・ギアまで演奏するこの若きシンガー・ソングライター、マティアス・ペレスが'10年に制作を始め、同郷のミュージシャンを中心に参加を仰ぎながらじっくりと制作された短編小説集のようなアルバム。'12年に発表されたものですが、今こそじわじわと評価を高めていく時期ではないでしょうか。チャカレーラにジャズ・モードのピアノが新鮮なm-2"chacarera del um bral"、フェルナンド・シルバのフレットレス・ベースと生ギターのロングトーンのなか甘くメロウな旋律を囁くような親密さで歌うm-3"Amanhecer"、電子パッドとローズの音色にカンドンベのリズムという神秘的な出会いを果たしたアンサンブルをフルートとヴォーカリーズで牽引するm-6"candomberinho"、egのバッキングを主体にメランコリアに満ちた本来のスロー・ブルースを展開するm-7"volver jamas"、川沿いの瑞々しさを含有したAOR調のm-9"Dia Azul"やコンテンポラリー・フォルクローレの真髄をみせるm-11"Seguir"、マントラの瞑想に浸るようにオリエンタルな音色が紡がれる静かな光という意味のタイトル曲m-13"Luz Serena"まで、アルゼンチンのS.S.W,ものの繊細かつオープンな感性に魅せられた方から、クワイエットなコンテンポラリー・フォルクローレのファンまで、どちらにもオススメしたい幻想的な独特の雰囲気を醸し出す歌曲集。



        日本初入荷 サンパウロのエクスペリ・サンバ勢3種

        0
          *明日の23日(月・祝・勤労感謝の日)は連休最終日に当たりますので店舗を休業させていただきます。

          この辺りの尖った音を休日の営業で掛けていると、おしゃれをして集まってくれた人たちが面白いように店から遠ざかって歩いていくのが目に映ります。入ろうとして踵を返したり。そうです、内面を暴くようにメンタルに作用するのが真のノイズ、エクスペリメンタル、先鋭音楽だと思うのです。店的には分かるやつだけ分かればいいサ(泣)、ということなのですがナー・オゼッチやルイス・タチらのグルーポ・フーモの直系で、エルメートやイチベレ、トン・ゼーら音楽表現を突き詰める人らの跡目を継ぐのは彼らだと思っています。

          サンパウロのホムロ・フローエスやパッソ・トルトなど当店で"エクスペリ・サンバ"と呼ぶ作品群をお好きな方々から、「入荷しませんか?」と度々お問い合わせを受けていたのが、キコ・ヂヌッチやチアゴ・フランサとのトリオ - メタ・メタで欧州ツアーにも出かけている女性シンガー、ジュサーラ・マルサルの初ソロ作。2014年度ブラジル版ローリングストーン誌の選ぶベスト・ディスクに輝く一枚です。今回縁あって輸入することが敵いましたが、キコ・ヂヌッチのデザインによる三つ折り紙ジャケットに歌詞カードというアートワークを重視した仕様で、盤は工場製CDRとなっています。キコ・ヂヌッチとホドリゴ・カンポスのツイン・ファズ・ギター(勿論electric)に、客演のチアゴ・フランサ(sax)らの硬質な単音リフにインプロヴァイズされたブロウが叩きつける中をしなやかに唄い上げるジュサーラの力量たるや。


          JUCARA MARCAL / ENCARNADO (ブラジル直輸入工場製CDR盤三つ折り紙ジャケット仕様 1,759円+税)

          アルバムのコンセプトとしては死という重い題材をテーマにしていますが、限りある命のなかでの復活再生や転機、これらの題材が生み出す詩。サイコな単音フレーズの複合のうえ自在に言葉に音程を乗せるジュサーラは、打楽器レスの編成にも関わらずヒップホップさえ超越したかのように独自のリズムを醸し出します。ヴァングアルダ・パウリスタ・ムーブメント期のイタマール・アスンサォン作m-8"E o quico?"しかり、同様にハベッカ(北東部のヴァイオリン)奏者のトマス・ホウメルが曲中で重要な位置を占めるm-6"Ciranda do aborto"も導いてるのはジュサーラの呼吸と唄の力。トン・ゼーの二作前(「Tropicalia lixo logico」)に収録されているm-9"Nao Tenha Odio No Verao"のカヴァーでは思い切り叫んでいます。特に耳を惹かれるのがキコ・ヂヌッチのバンド・プロジェクト - アフロ・マカロニコにも参加する音楽家ダグラス・ジェルマノが書いたm-2"Damiao" とm-7"Cancao pra ninar oxum"の佳曲ぶり。後者ではムビラとハベッカを背景に優しく唄うジュサーラ・マルサルが見られます。


          今日ご紹介するなかで聴きやすさで言えば本作が一番耳馴染みがよいのではないでしょうか。やはりギターがナイロン弦でフルートが入るとたとえミニマリストの作品だとしてもすっと体に入ってきます。ジュサーラ・マルサル、チアゴ・フランサ、キコ・ヂヌッチの3人からなるユニットがこのメタ・メタ。2011年制作、エクスペリサンバの傑作が数量限定で入荷。二つ折りペーパー・スリーブ入りの工場製CDR作品です。


          META META [KIKO DINUCCI, JUCARA MARCAL, THIAGO FRANCA] (ブラジル直輸入工場製CDR二つ折りPPS  1,537円+税)

          アフロ・ブラジルとアドニラン・バルボーザに端を発するサンパウロ産サンバの系譜、そして都会的な洗練とエクスペリメントなマインド。これらを唄、木管、生ギターというサロン・ミュージック的なミニマム編成で体現したのがこのメタ・メタ。ジュサーラの居たア・バルカのバンド・メイトでもある鍵盤奏者リンコン・アントニオ作のm-2"Umbigada"や、後にパッソ・トルトの1stで再録されるm-5"Samuel"など静けさの中をたゆたうように織りなす少し冒険的なアコースティック・アンサンブル。そして後半はダグラス・ジェルマノらと共作されたり、キコのペンによるアヴァン・アフロのエッセンスをセルジオ・マシャードのドラムスと共に醸し出します。
          トラッド曲の斬新なカヴァー"Ora le le o" も。




          そしてその1年後、2012年に発表されたメタ・メタの2ndがこちら、その名も「METAL METAL」。
          ジュサーラ・マルサル、チアゴ・フランサ、キコ・ヂヌッチの3人に加えて、マルセロ・カブラル(b)とセルジオ・マシャード(drs)が参加し、キコはegに持ち替えて、よりチアゴ・フランサの得意とするアフロ・ブラジルをベーシックとしたフリー・ジャズの要素が強まった重厚な作品。マラニャォンのルーツ・リズム・セッションやカンドンブレーを引用したりも。最終曲m-9"Tristeza Nao" はアリシ・ルイスとイタマール・アスンサォンの共作曲。


          META META / METAL METAL (ブラジル直輸入工場製CDR二つ折りPPS  1,537円+税)

          http://taiyorecord.com/?pid=95830299

          エクスペリメンタル・フォークのエセキエル・ボーラ新作

          0
            本日、素晴らしいニュースが舞い込んで参りました。
            ポップ・フローレスタ、サンパウロを拠点に活躍するトゥリッパ・ルイスの最新作「Dance」(eにアクセント記号) がラテン・グラミー最優秀ブラジル・ポップ・アルバム賞に輝きました。凝ったジャケの仕様など諸々の事情から「ダンセー」の国内盤は作れず、輸入盤のみの取り扱いとなっておりますが、すごく好きなアルバムなので嬉しいです。

            TULIPA RUIZ / DANCE 

            そして雑誌ラティーナ12月号が発売となりました。今号ではトミ・レブレロのインタビューが見開き2pに渡って掲載されています。ミュージシャンたるもの、その人と也を開けっぴろげにしてこそだと思いますので、彼のキャリア、思考がよく分かるとてもよい記事に仕上がっていることに喜びを隠しえません。

            最新版 TOMI LEBRERO, ALEX MUSATOV / LIVE! EN TOKIO はコチラ

            では今日はブエノス・アイレスからの新譜を。
            かつてフアナ・モリーナのサイドマンとして来日したこともあり、最近では陽気さと無邪気さのフォーキー女性S.S.W.ソフィア・ビオラのプロデュースも手掛けるエセキエル・ボーラ。卓越したギターの腕もさることながら、ブリキのおもちゃや管弦を用いたエクスペリメンタルな音場と不思議なメロディで誰も踏み込まないような地点に自らを投げ入れる前衛シンガー・ソングライターとして4作目となるアルバムが発表されました。

            EZEQUIEL BORRA / LO PEOR (アルゼンチン直輸入盤 2,259円+税)

            アコースティック実験室然とした音の冒険が詰まっていた前作「Usted esta aqui?」の続編という位置付けで制作された本作「Lo Peor」ですが、この言葉には"最悪"という意味があり、誰しもが抱く自虐的な発想や自己の内面に対する抗議を唄にしたアルバムだと云います。脱力したようなエセキエルの歌声にはニヒルな道化師のエッセンスを感じますので、まさに相応しいテーマかも知れません。冒頭のカンドンベ・ファンクとでも呼びたくなる"El blues de la guitarra" からバリトン・サックスにパーカッションと音の玉手箱状態。ブリキの太鼓とパルス音がアレックス・ムサトフ(vln)らを含む管弦アンサンブルへと変容してゆく"Hola como te va"には小学校の合唱隊が参加、イタリア映画のサントラかムード歌謡かという雰囲気の"Lo peor"にはサンティアゴ・バスケスが、中米あたりのエキゾチックな風景を想起させるラテン・ルーツ調の"El anti hit"にはトミ・レブレロ(bdn) と病院のコーラス隊が、優しげなララバイのように聴こえる"Corazon en la trinchera"にはフォルクローレ界からベテランのリリアナ・エレーロ(vo)とペドロ・ロッシ(g)が参加というように、厚い人望を感じさせる大勢の参加メンバーと共に繰り広げるめまぐるしい音絵巻。先述の学校や病院、ワークショップに売上の一部が寄贈されるというベネフィット作品でもあります。


             


            PR

            大洋レコードは東京・神楽坂のセレクトCDショップです。

            ブラジル・アルゼンチンの現在のインディペンデントなシーンからの輸入盤CDを中心にお取り扱い。

            東京都新宿区赤城下町10-10 東京メトロ東西線神楽坂駅1b出口3分。

            2024年3月
            1 2
            3 4 5 6 7 8 9
            10 11 12 13 14 15 16
            17 18 19 20 21 22 23
            24 25 26 27 28 29 30
            31
            が定休日です。 2022年5月26日、大洋レコード&Delicatessen として移転 OPEN。 11時〜18時の店舗営業、(土曜は14時~18時)。毎水曜・日曜・祝日定休とさせていただきます。

            03-3235-8825


            WEB通販はオフィシャル・サイト taiyorecord.com にて


            * information

            [以下の音楽雑誌に店主が寄稿しました]


            「ミュージックマガジン」ミナス特集にレコード・レビューを寄稿予定。(2022/6)


            FI MAROSTICA / VISÃO DO MAR (RCIP-0321 2021.6.30) ライナーノーツ


            ラティーナ2月号 (2020/1/20発売)

             

            「20年代はこの国の音楽に注目したい」


            e-magazine LATINA 「いま最も輝ける存在、サンパウロの女性シンガー、ヴァネッサ・モレーノへのロング・インタヴュー」(2022年2月23日)


            [国内盤リリースのご案内]

            Flor Sur Cello Trio, Airena Ortube & Julian Beaulieu / Un Solo Jazmin (大洋レコード国内盤CD 2022.7.23発売)好評発売中!


            SALOMÃO SOARES & VANESSA MORENO / YATRA-TÁ (TAIYO0041 2022.2.28) 好評発売中!


            VANESSA MORENO / SENTIDO (TAIYO0040 2021.6.26) 好評発売中!


            Carlos Aguirre / Canciones I 譜面集 46p(TAIYO0039 2020.12.26) 好評発売中!


            TINCHO ACOSTA (TAIYO0038 2020.8.28) 好評発売中!


            CHICO BERNARDES (TAIYO0037 2020.7.31) 好評発売中!


            MERY MURUA & HORACIO BURGOS / ROBLE 10 AÑOS (TAIYO0036 2020.6.13 release 限定盤) 好評発売中!


            ENSAMBLE CHANCHO A CUERDA / POSDATA (TAIYO0035 2018.12.22 release 限定盤) 好評発売中!


            FERNANDA TAKAI / O TOM DA TAKAI (TAIYO0034 2018.6.5 release) 好評発売中!


            TULIPA RUIZ / TU (TAIYO0033 2018.3.15 release) 好評発売中!


            PATRICIO PIETREK GRUPO / PAJÁRO AZUL(TAIYO0032 2017.12.04 release)

            好評販売中!


            ryosuke itoh e shiho - minha estrada (TAIYO0031 2017.6.24 release)

            販売中!


            [メディア情報]

            2022/5/31 (火) 15時 TOKYO FM 「The TRAD」 (パーソナリティ:稲垣吾郎) 生出演。初夏・新緑に似合うブラジル音楽を紹介させていただきました。


            2022/1/28 (金) 7:20分頃~ 放送予定 フジテレビCX系 『めざましテレビ』"なにわ男子のなんでやねん!" にて、長尾謙杜(なにわ男子)さんにブラジル・アルゼンチン音楽専門店 - 大洋レコードを取材していただきました。


            [記事掲載のご案内]

            2024年2月20日発売 雑誌「MINA(ミーナ)」4/5月号 "TOKYO MANIAC SHOP探訪"に大洋レコードの記事をご掲載いただいております。


            2022年12月 雑誌(ZINE) WAVE vol.2 “めくるめくCDの世界” 雨と休日さんやsnsでお見かけする100円CDディガーに8cm CD専門dj...錚々たる面々に混じって取材記事をご掲載いただきました。

            2021年11月20日発売、雑誌「散歩の達人12月号」神楽坂・飯田橋特集に当店が掲載されました!前回の掲載から何と8年ぶり、通算3回目の登場となります。


            2020年7月フリーペーパー 「新宿プラス vol.12」 #音楽のまち新宿 #武田真治 #saxplayer にご掲載いただきました。


            体験型アミューズメント・キッザニアの広報記事「キッザニアの窓」に大洋レコード伊藤のインタビュー記事とおすすめタイトルをご掲載いただきました。

            「親子で楽しむ、はじめての音楽」Vol.3 南米音楽



            女の子のスポーツライフをもっとファッショナブルに。「HBハミングバーズ」2018 Summer vol.14 に"Playlist for Summer"としてオススメ5作品の小さなレヴューを書いています。


            5/9発売 「POPEYE 6月号 "僕たちの好きな音楽。"」にて大洋レコードが掲載されます。川沿い音楽の取材も受けました。


            2018年1月末、神楽坂のアップデイトされた情報が満載の「帰ってきた!神楽坂本」(エイ出版)が発売されました。今回は"Culture 文化"のページに大洋レコードをご掲載いただいてます。ぜひ街ぶらショッピングのお供に。


            ひとまちっくす神楽坂「南米音楽と横浜ベイスターズと私。大洋レコードの伊藤亮介さん。」


            NUMBER WEB "野次馬ライトスタンド" 「ベイ戦士よ、ブラジル音楽を聴け!東京の路地裏から愛を込めて。」


            selected entries

            archives

            recent comment

            • Xマス・シーズンにぴったりのブラジル音楽・オムニバス形式の一枚
              sknys
            • Xマス・シーズンにぴったりのブラジル音楽・オムニバス形式の一枚
              伊藤亮介
            • Xマス・シーズンにぴったりのブラジル音楽・オムニバス形式の一枚
              sknys
            • 再入荷状況 + 街のひとweb記事 + ラジオ出演のお知らせ
              伊藤亮介
            • 再入荷状況 + 街のひとweb記事 + ラジオ出演のお知らせ
              立野 BUN 博一
            • 夏季休業のお知らせ+崇高なギター四重奏・クアテルナーリアの新譜
              Kazuo Ota
            • 夏季休業のお知らせ+崇高なギター四重奏・クアテルナーリアの新譜
              伊藤亮介
            • 夏季休業のお知らせ+崇高なギター四重奏・クアテルナーリアの新譜
              Kazuo Ota
            • ダークなトーンから一筋の光をあてるような夢想の精神、ルシオ・マンテル
              伊藤亮介
            • ダークなトーンから一筋の光をあてるような夢想の精神、ルシオ・マンテル
              sknys

            recommend

            links

            profile

            書いた記事数:2080 最後に更新した日:2024/03/25

            search this site.

            others

            mobile

            qrcode

            powered

            無料ブログ作成サービス JUGEM