ニナ・ベッケルの新譜!
来週 10/10 には待望の複合商業施設「ラカグ」が当店至近、矢来口交差点前にオープンします。屋根なのか階段なのか、話題となっていましたウッドデッキも完成に向けて仕上げに入っている模様です。建築マニアの方も新潮社の倉庫を改装したこの施設の建築風景見学の折に、年に数回しか行なわない大洋レコード・テラスでの音楽会にお越しいただければ幸いです。ブエノス・アイレスに旅行しない限り、めったにお目に掛かれないアルゼンチンのバンドネオン奏者/S.S.W.のツアー打ち上げ/帰国パーティとなります。Charge Free !!
さて、先週のお休みをいただいている間に届いたブラジルからの新譜。目玉を本日ご紹介します。
ブラジル新世代ミュージシャンたちによるガフィエイラ・ビッグバンド - オルケストラ・インペリアルでもヴォーカルとしてフィーチャー、「Vermelho」(赤)、「Azul」(青)とコンセプトの異なる二枚のソロ作を同時リリース、その後は公私に渡るパートナーでド・アモールやカエターノのバックで活動するドラムス奏者マルセロ・カラドとのハンドメイド調デュオ作を発表と順調にキャリアを積み上げてきました。ナチュラルに澄んでいながらも中音域の伸びやかな推し出しが効いていて、華やかに、機知に富んだムードを醸し出すニナ・ベッケルの唄声が最大限に活かされたショリーニョなアンサンブルはドラムレス、全曲ドロリス・ドゥランのレパートリーによるソングブック。
Nina Becker / MINHA DOLORES - canta dolores duran(ブラジル直輸入盤 2,500円+税)
カリオカで'50年代を通じ、甘くしっとりしたサンバ・カンサォンを自作自演した女性S.S.W.ドロリス・ドゥラン。6カ国語を話せる才女だったとのことですが、29歳の若さで心不全のため急逝してしまいます。ブラジル国内ではナナ・カイミやルーシオ・アルヴィスがトリビュート・アルバムを制作してきましたが、現世代のアーチストとしては初となるドロリスのソングブックが、同郷出身で優雅に素敵な唄声の持ち主 - ニナ・ベッケルによって登場しました。ツボを突いた様々なレア盤の初CD化やトリビュート作を手掛けるジョイア・モデルナのDJ ゼー・ペドロがサンパウロの木目調のライヴ・スポット - カーザ・ヂ・フランシスカでドローリスのレパートリーでショーを行なうニーナを見てアルバム制作を発案したそうですが、ニナにとってもオフィシャルのバイオグラフィーにて影響を受けたシンガーとして真っ先にドロリスの名を挙げているくらい思い入れの深いアーチストのトリビュートになります。冒頭のドロリスとA.C.ジョビンの共作曲"Estrada do Sol" から全編に渡り、ニーナの唄/7弦ギター/バンドリンを基盤にしたショーロ・アンサンブルで、ボサ・ノヴァ愛好家の皆さんにも是非聴いていただきたい木目調のアコースティック音楽。パートナーのマルセロ・カラードは松ぼっくりのパーカッションでm-2"Estatuto de Boate" (ビリー・ブランコ作)に参加、ヒカルド・ヂアス・ゴメスはドロリスとルーシオ・アルヴィスの共作 m-6"Vou Chorar" にてワーリッツァーを演奏、ペドロ・サーがm-10"Feiura Nao E Nada" のソロ・パートにegで参加しています。
[ドロリス・ドゥランに関する参考文献: ブラジリアン・ミュージック(中原 仁編) / ボサノヴァの真実(Willie Whoper著)]
アルバムと編成は異なりますがTVの企画「カントーラス・ド・ブラジル」でドロリスの曲を唄うニーナ・ベッケル。
- 2014.09.30 Tuesday
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- 15:29
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