上記ボサ・ノヴァ50周年で制作された正統派アルバム「A bossa no tempo」の主役、ラテン・グラミー・ノミネイト歌手のサンドラ・ドゥアイリービとセリー・クラード、そしてダブリウからソロ・アルバムをリリースしているマルシア・タウイル、そして友人関係からブラジリアの"クルビ・ダ・ボッサ” プロジェクトに参加するようになったというナタリア・リマの女性歌手4人が、75歳になる生粋のボサノヴィスタ - ホベルト・メネスカルのギターやアレンジを相伴にメネスカルの曲を唄うという2012年制作のアルバムが入荷。メネスカルらしいエレガントで上品なボサ・ノヴァ・アルバムとなっております。
Sandra Duailibe, Cely Curado, Marcia Tauil, Nathalia Lima / Elas Cantam Menescal(ブラジル直輸入盤2,200円税込)
4人の女性シンガーが曲毎にその持ち前の味を活かしながら唄う、或いはクアルテート・エン・シーばりのコーラス・ハーモニーをつけて唄うのは、ホベルト・メネスカル=ホナウド・ボスコリのタッグによる"Voce""Nos e o mar""Copacabana de sempre" 等に、メネスカル=アルジール・ブランキ”Eu e a musica"などのかつての持ち曲をフレッシュにリノヴェイトしたものに、4曲の新たな書き下ろし。メネスカル自身のギターに、時には唄い、p, contrabass, sax / flute, drs というジャズ・コンボの編成で熟達したまろやかなアンサンブルが廻りを固めています。
さて本日の新入荷商品は、ミンギ・インガラモprod.、私どもにはキケ・シネシ、マルティン・ブルーンとの共演アルバム「Dos Soles」でお馴染みのソプラノ・サックス奏者ハビエル・ヒロットのアルバムです。
Javier Girotto / Alrededores de la Ausencia (アルゼンチン直輸入盤 2,000円税込)
'65年アルゼンチン・コルドバの出身で、バークリー音楽院で作曲とインプロヴィゼーションを学んだマルチ・リード奏者で、主にソプラノ・サックスを演奏するハビエル・ヒロット。現在移住先のイタリアでも盛んに音楽活動を続けるハビエルは、近年ではファブリツィオ・ボッソとのデュオ・アルバムを発表するなど錚々たる国際的なキャリアを築き上げてきましたが、本作品は故郷のアルゼンチン音楽に立ち返ったコンセプト・アルバム。同郷のミンギ・インガラモ(p) との共同プロデュースで、オラシオ・ブルゴス(g)、マルティン・ブルーン(per)、フェルナンド・ボダリーニ(b)らアルゼンチンのミュージシャンたちと大平原パンパを思わせる滑らかで瑞々しさに溢れたコンテンポラリーなフォルクローレ・ジャズを展開しています。冒頭からヴォーカリーズとsサックス、ハイブリッドなテクスチャーのフォルクローレ・リズムが雪解けの河の流れのように混ざりあい、オラシオ・ブルゴス作のタイトル曲では鎮まったギターの和音の中を情感豊かな木管の音色が吹きぬけてゆきます。ドン・アンドレス・チャサッレタの古いフォルクローレやオメロ・エクスポシトの古いタンゴは現代流のジャズ・アレンジで唄入りで披露、自身のコンポジションと盟友、オラシオ・ブルゴスらの作品にリノヴェイトされた古典、アルゼンチン人のアルゼンチン人としてのアイデンティティとアイディアが詰まったコンテンポラリー音楽がここにあります。
Pablo Grinjot / Grinjot (アルゼンチン直輸入盤 1,890円税込)
ゆったりと過ぎる日常から半歩だけ踏み出した夢見心地のロマンチシズム、丁寧に織り重ねられたアコースティック・トーンと極上のポップ・フレイヴァーを演出するエレクトロニクスの絶妙な邂逅。外部のプロデューサーとラプラタ川沿いの多くのゲスト・ミュージシャンを迎えて制作されたシンガー・ソングライター渾身の快挙作。
ヴァイオリン奏者としてコワフールのアルバムなどにも参加し、一方でギター、ピアノの卓越した演奏技術、そして持ち前の詩的に落ち着いて響く唄声を活かしたシンガー・ソングライターとしての活動も、ルドビック・バンなるバックバンドを率いたり、ソロで弾き語ったり、客演したり、とブエノス・アイレスのインディペンデント・シーンで充実した音楽活動を送るパブロ・グリンホト。自身の40歳を祝い、40曲を演奏するというショーをカフェ・ビニーロで行なったりもしています。ここに収められた10曲の殆どは3年前の2010年には書き下ろされていた唄たち。これを外部のプロデューサー/鍵盤奏者でエレクトロ・タンゴやチル・ボッサのプロジェクトなどを手掛けるアレハンドロ・カウデレールのモーグなどを用いたキメの細かいサウンド構築術と、多くのミュージシャンとの共感、信頼の関係で具現化したのが本作。都会のコンクリートに沁み入るようにゆったりとしたテンポでひとつひとつ置かれたことばは、川沿い音楽、フォルクローレを心底にもつ国の音楽家だからこそのメランコリア、何度も飛翔と旋回を繰り返す鳥たちのような旋律に載って溢れ出します。人懐っこいメロディとモダンなテクスチャーが交わった"Los Artistas" にはじまり、現代的なサウンドの底にはムルガのリズムが流れている"Maceta”にはウルグアイの女性シンガー-アナ・プラダを迎え、蒼い風が一挙に吹きすさび心を惹かれるAORタッチの"Otra Vez”にはナチョ・ロドリゲスがコーラスで、親密に語りかけるような雰囲気が秀逸な"Lo que me hace llevar"のウクレレをはじめ、多くの曲のベースやアコースティック・ギターでアルヴィ・シンガーことハノ・セイトゥンが参加、トミ・レブレロが深遠でイフェクティヴなバンドネオンを演奏し、フェルナンド・カブレラがタンゴ・カンシオンの風合いで唄う"Cifra"や、ロサンジェルス弦楽団とグリンホトと同様にマルチ奏者であるマルセロ・ルピスのヴァイオリンでコズミックな演出が施された"Despedida"、グロッケン・シュピエールなどハンドメイド・タッチな音色と女性コーラスで現代のSSWものの詩情を醸し出す"Maravilla de mar" など、うたごころに溢れた佳曲がずらっと並びます。ブエノスアイレス・アカデミー管弦楽団との共演コンサート・プロジェクト - アイ・オトラ・カンシオンに参加するS.S.W.たち - このパブロ・グリンホトに前述のナチョ、トミ、アルヴィに加え、ルシオ・マンテル(g)、パブロ・ダーカル(vo)と、いま旬な音楽家たち。そしてコンテンポラリーなフォルクローレの界隈からはソロ作も話題となったチャランゴ/ロンロコ奏者のダミアン・ベルドゥンが、そしてキケ・シネシからルシオ・マンテルまで共演経験も豊富な打楽器奏者のガスパール・ティレルマン(パラモ/メ・ダラス・イホス)が、多くの楽曲に参加しています。ジャケット・デザインは女流写真家のルラ・バウエールによるもの。