メロウでAORテイストに溢れた男性S.S.W. ファビオ・カドーレの2nd、ピアノはエルナン・ハシント from Bs.As.

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    大洋レコードの実店舗では基本的にお買い上げになろうとする商品、殆どのご試聴が可能なのですが、お客様と一緒に聴いてみてその音楽の見方が変わるとか、新しい側面に気付かされるということがままあります。このファビオ・カドーレも商品が到着した当初はサンバ・ホッキ的に聴こえていたのが、時を経て(といっても店頭に在庫したのはここ2、3ヶ月ですが)久しぶりにじっくり耳を傾けるとジャジーなピアノや唄に迸るメロウネスにハッとさせられました。


    Fabio Cadore / Instante (ブラジル直輸入盤 1,680円税込)

    これが2作目となるサンパウロのS.S.W. ファビオ・カドーレ。2012年にはライセンス盤がリリースされている韓国へツアーに出掛けています。前作ではロック色の強かった印象があるのですが、今作では視野をラテン圏全体のハイブリッド音楽へと拡げています。韓国のジャズ系S.S.W.キム・ジュンブンとコラボレイトしたm-3 "Viajante" の洗練されたAORのエッセンス、まったりとしたジャズ・ブルース調のm-4 "Vem ca" などで対旋律を流麗に舞うピアノが凄いと思いきや何とピアノはブエノス・アイレス録音で、フリー・ジャズからインディ・ポップまで幅広い音楽性を持ったピアノ奏者のエルナン・ハシントが担当。タイトル曲には5人の新進S.S.W.が割拠するサンパウロのシンコ・ア・セコ全員がゲスト参加、その中からリーダー格のヴィニシウス・カルデローニとの共作 m-7 "Um pe de valsa"、また同じく興隆するサンパウロの音楽シーンで活躍するジアナ・ヴィスカルヂとの共作 m-8 "Botar pra quebrar" などでは爽やかな表情ながら抜群のスインギを感じさせてくれます。穏やかなボサ・ノヴァのm-10 "Choro derradeiro" では MPBジャズで人気のルシアーナ・アルヴィスがゲスト参加。続く"Ojos de sal" ではルイス・ゴンザーガ曲集が評判のギリェルミ・ヒベイロがアコーディオンをプレイ。スペイン在住のS.S.W.レオ・ミナックスとの共作"Causa e efeito"、そのレオ・ミナックスとラテン・グラミー受賞者でウルグアイ出身のS.S.W. ホルヘ・ドレクスレル共著による”Causa e efeito" も収録。カバー・アートはノヴォス・コンポジトーレスの流れを牽引するダニ・グルジェルが担当。(ダニの「Viadutos」にファビオとの共作曲"Silencio" が収録されています)アルバム全編に携えたAORテイストの甘く洗練されたエッセンス、お好きなひとには堪らないはず。

    ダニ・グルジェルの映像プロジェクトでゴスペル・コーラス・ヴァージョンの"Viajante"


    おなじみMusica de bolso で本アルバム収録の"Centelha"


    おまけで、アルバム未収録の映像です。本家カルロス・アギーレとファビオ・カドーレ&ルイス・ヒベイロの共演"Pasarero"


    明日の30日は水曜で店休日となります。よろしくお願いします。

    eギターのクランチ・トーンが唄と寄り添うブラジル音楽2種

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      ブラジル音楽というとサンバ打楽器や生ギター、カヴァキーニョ、バンドリンとアコースティック楽器のイメージがありますが、今日は店に並んでいる中からエレクトリック・ギターのクランチ・トーンが唄と寄り添った2タイトルを。

      Siba / Avante (ブラジル直輸入盤 2,600円税込)

      ブラジル北東部ルーツのバンド、メストリ・アンブロージオ出身で前作までは管など生楽器のみで構成されたア・フローレスタスを率いたシバ。新作は一風変わったいま流のロック・バンドのフォーメーションで制作、名義もシバ&ア・フローレスタスからシバ単独のものとなっています。その編成ですが、シバの唄とeギター、ア・フローレスタからチューバ奏者のレオ・ジェルヴァージオがベース・パートを、そしてマルチ・インストゥルメンタリスタぶりを発揮したソロ2作目が評判のアントニオ・ロウレイロがヴィブラフォンを、ドラムスはサミュエル・フラガが担当。プロデュースはポストロック通過後のサイケデリアを体現するシダダォン・インスチガードのフェルナンド・カタタウとシバの共同で、ミキシングをユリ・カリウも参加して行なっています。ヴェンテージのリズム・ボックスの奏でるボレロからフォホーへと展開したり多彩ですが、決して急く事のないゆったりと構えた骨太のビートに侠気を感じます。


      Adriana Partimpim / tles (ブラジル直輸入盤 2,200円税込)

      アドリアーナ・カルカニョットの子供向け音楽、パルチンピン・プロジェクト3作目。ジョルジ・ベンの"Taj Mahal" やボサノヴァ・クラシックスの”O Pato" をドメニコ・ランセロッチの手打ちサンプラーやモレーノ・ヴェローゾの打楽器にチェロなどで緩やかにプレイしているのですが、このブラジル新世代たちの変革アレンジも然ることながら、ペドロ・サーにダヴィ・モライス、ホドリゴ・アマランチ(リトルジョイ、ex エルマーノス)らの歌旋律に寄り添うように、決して前のめりになることなく慈しむように弾かれるエレクトリック・ギターたちが肝です。ロック魂を皆が楽しめるよう幸せなかたちで昇華している、そんな印象を受けます。ジルベルト・ジル"De onde vem o baiao" やドリヴァル・カイミ”Tia Nastica" にシヂ・カンポス”Crianca Crionsa" といったところも、そして自作曲群。日々聴くのであれば、このくらい空間にゆとりがある音楽が心地良いのでは。



      どなたか自転車の忘れ物を...

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        大洋レコードの店頭に昨日の夕方から自転車のわすれものがございます。

        折りたたみ式の自転車で、濃緑色のフレーム、銀色のシートカバー、ユニオンジャックのステッカーが貼ってあります。

        昨日夕方5時頃から停めたままになっておりまして、夜に取りに来られるかなと思いそのままにしておりましたが、

        安全のため鍵を掛けて、その鍵を大洋レコードにてお預かりしております。


        昨日の夕方からおかげさまで多くのご来客をいただいておりますので、どの方が持ち主かと特定できずにおります。閉店後、開店前でしたら03 (3235) 8825 に、お電話くださるようお願いします。

        身近な愛や傷心を唄うフォーキーな女性S.S.W. メンドーサから

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          初めて聴いたときは、ファイストか初期のヤエル・ナイムかと思ってしまいました。

          世界に打って出れるポテンシャルを秘めた西語・仏語・英語の小曲たちはセンシティヴな唄声に自身の生ギターと弦楽などを携えて。アルゼンチンはメンドーサ出身 マリアナ・パラウエイのアルバムが到着!

          Mariana Paraway / Los Peces (アルゼンチン直輸入盤 1,890円税込)

          身近な愛や傷心を唄うフォーキーな女性S.S.W. マリアナ・パラウェイことマリアナ・ポルタは'80年の生まれで大学でギターなどを勉強したのちプリスマルやグラマーという名のロック・バンドで活動、ディストーションを捨てたのは更に音楽学部に通い修了を迎えた2009年、フランス人とアルゼンチン人の男女デュオ・ユニット - ポル・アチェ・オ・ポル・ウべとコラボレートして曲を書き、生ギターと唄のみでマリアナ・パラウェイとして舞台にたち、アルバム「エル・ティエンポ」(絶版)をデザイナーである夫のガストン・カステッリ aka DOTZ と制作します。このポル・アチェ〜との交遊から、またインタヴューなどを見るとパリに滞在していたこともあるようで、12曲中2曲のフランス語歌詞や、5曲の押韻された英語歌詞たち、これら国際的な視野もこのマリアナの表現方法の特色で、夫のDOTZによるアート・カヴァーからテキスタイル、PVにいたるまで、トータルでファッションにも訴えかけるアーティスティックな佇まいをしています。サウンドの方は生ギターからチャランゴ、ピアノに至るまでをマリアナ自身がプレイ、丁寧に織り重ねられたこれらアコースティック楽器とチェロやヴァイオリン、コントラバスでプロデュースも務めるゲスト・ミュージシャン勢が参加。叙情的なラインを辿る、けれん味のないソフトな唄声とハーモニー、自然からのサンプリングに隠し味のエレクトロニクス、間の活かし方も含め、俯瞰して唯一無比の世界観を作り上げたことが見て取れる手の込んだ作品。クンビア・ロックで有名なダマス・グラティスの"No Eres Para Mi"を瑞々しいアコースティック・ポップへとリノベイトしたカヴァーの他は、詩的なピアノ弾き語りの佳曲からフォルクローレ・リズムにフォーカスした"Vidala del desamor"などすべて自作自演。豊かな感受性と少しの幻想、ゆったりした気持ちで思いを馳せながら楽しみたい珠玉の作品集。





          キケ・シネシ (g) のライヴ盤先行発売

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            現代アルゼンチンを代表する7弦ギター奏者キケ・シネシ。フォルクローレを基盤にタンゴはもちろん現代音楽にジャズに、様々な要素を含有する多彩な音楽性から生み出される流麗な楽曲とその実直な人柄が滲み出たように甘く暖かい音色のギターで本国アルゼンチンは固よりヨーロッパのジャズ・フェスなどでも感嘆の渦を巻き起こす音楽家です。このキケ・シネシは2012年に2度来日ツアーを果たしていますが、5月に行なわれた草月ホールでのコンサート、カルロス・アギーレと共演したステージがライヴ盤となってリリースされます。"Cancion Hacia Voz" "Alta Paz""Otro Dia"... 爽やかに吹き抜ける風のように、しかし繊細なタッチで自身の代表曲を演奏しているほか、ゲストとしてのポジションでカルロス・アギーレがピアノで、アコーディオンやスキャットで、"Danza Sin Fin" や”Seras Verdad?" など4曲で共演。

            大洋レコード店頭では1/24(木)より、WEBでは只今より、先行発売を開始します。

            (明日の1/23(水)は店休日となります)


            Quique Sinesi "Live in sense of quiet guest: Carlos Aguirre" (nrt 国内盤CD デジパック11p ブックレット付装丁 2,520円税込)

            静かなる熱狂の記憶。
            代表曲のソロ演奏によるベスト・パフォーマンス5曲、
            カルロス・アギーレ(ピアノ、ヴォーカル他)とのデュオ演奏4曲を収録した、
            アルゼンチン音楽史に残る傑作。
            「単なる音を超えた何か、詩としての音楽。
            その本質がもっともダイレクトに表出された、まさに決定盤。」
            ――松山晋也(ライナーノーツより)

            映像はアルバム収録の音源とは異なりますが、キケ・シネシとカルロス・アギーレのデュオ演奏で"Seras Verdad ?"、サンタフェでのライヴ。3分過ぎた辺りから登場するパートが素晴らしいですよね。



            PR

            大洋レコードは東京・神楽坂のセレクトCDショップです。

            ブラジル・アルゼンチンの現在のインディペンデントなシーンからの輸入盤CDを中心にお取り扱い。

            東京都新宿区赤城下町10-10 東京メトロ東西線神楽坂駅1b出口3分。

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            が定休日です。 2022年5月26日、大洋レコード&Delicatessen として移転 OPEN。 11時〜18時の店舗営業、(土曜は14時~18時)。毎水曜・日曜・祝日定休とさせていただきます。

            03-3235-8825


            WEB通販はオフィシャル・サイト taiyorecord.com にて


            * information

            [以下の音楽雑誌に店主が寄稿しました]


            「ミュージックマガジン」ミナス特集にレコード・レビューを寄稿予定。(2022/6)


            FI MAROSTICA / VISÃO DO MAR (RCIP-0321 2021.6.30) ライナーノーツ


            ラティーナ2月号 (2020/1/20発売)

             

            「20年代はこの国の音楽に注目したい」


            e-magazine LATINA 「いま最も輝ける存在、サンパウロの女性シンガー、ヴァネッサ・モレーノへのロング・インタヴュー」(2022年2月23日)


            [国内盤リリースのご案内]

            Flor Sur Cello Trio, Airena Ortube & Julian Beaulieu / Un Solo Jazmin (大洋レコード国内盤CD 2022.7.23発売)好評発売中!


            SALOMÃO SOARES & VANESSA MORENO / YATRA-TÁ (TAIYO0041 2022.2.28) 好評発売中!


            VANESSA MORENO / SENTIDO (TAIYO0040 2021.6.26) 好評発売中!


            Carlos Aguirre / Canciones I 譜面集 46p(TAIYO0039 2020.12.26) 好評発売中!


            TINCHO ACOSTA (TAIYO0038 2020.8.28) 好評発売中!


            CHICO BERNARDES (TAIYO0037 2020.7.31) 好評発売中!


            MERY MURUA & HORACIO BURGOS / ROBLE 10 AÑOS (TAIYO0036 2020.6.13 release 限定盤) 好評発売中!


            ENSAMBLE CHANCHO A CUERDA / POSDATA (TAIYO0035 2018.12.22 release 限定盤) 好評発売中!


            FERNANDA TAKAI / O TOM DA TAKAI (TAIYO0034 2018.6.5 release) 好評発売中!


            TULIPA RUIZ / TU (TAIYO0033 2018.3.15 release) 好評発売中!


            PATRICIO PIETREK GRUPO / PAJÁRO AZUL(TAIYO0032 2017.12.04 release)

            好評販売中!


            ryosuke itoh e shiho - minha estrada (TAIYO0031 2017.6.24 release)

            販売中!


            [メディア情報]

            2022/5/31 (火) 15時 TOKYO FM 「The TRAD」 (パーソナリティ:稲垣吾郎) 生出演。初夏・新緑に似合うブラジル音楽を紹介させていただきました。


            2022/1/28 (金) 7:20分頃~ 放送予定 フジテレビCX系 『めざましテレビ』"なにわ男子のなんでやねん!" にて、長尾謙杜(なにわ男子)さんにブラジル・アルゼンチン音楽専門店 - 大洋レコードを取材していただきました。


            [記事掲載のご案内]

            2024年2月20日発売 雑誌「MINA(ミーナ)」4/5月号 "TOKYO MANIAC SHOP探訪"に大洋レコードの記事をご掲載いただいております。


            2022年12月 雑誌(ZINE) WAVE vol.2 “めくるめくCDの世界” 雨と休日さんやsnsでお見かけする100円CDディガーに8cm CD専門dj...錚々たる面々に混じって取材記事をご掲載いただきました。

            2021年11月20日発売、雑誌「散歩の達人12月号」神楽坂・飯田橋特集に当店が掲載されました!前回の掲載から何と8年ぶり、通算3回目の登場となります。


            2020年7月フリーペーパー 「新宿プラス vol.12」 #音楽のまち新宿 #武田真治 #saxplayer にご掲載いただきました。


            体験型アミューズメント・キッザニアの広報記事「キッザニアの窓」に大洋レコード伊藤のインタビュー記事とおすすめタイトルをご掲載いただきました。

            「親子で楽しむ、はじめての音楽」Vol.3 南米音楽



            女の子のスポーツライフをもっとファッショナブルに。「HBハミングバーズ」2018 Summer vol.14 に"Playlist for Summer"としてオススメ5作品の小さなレヴューを書いています。


            5/9発売 「POPEYE 6月号 "僕たちの好きな音楽。"」にて大洋レコードが掲載されます。川沿い音楽の取材も受けました。


            2018年1月末、神楽坂のアップデイトされた情報が満載の「帰ってきた!神楽坂本」(エイ出版)が発売されました。今回は"Culture 文化"のページに大洋レコードをご掲載いただいてます。ぜひ街ぶらショッピングのお供に。


            ひとまちっくす神楽坂「南米音楽と横浜ベイスターズと私。大洋レコードの伊藤亮介さん。」


            NUMBER WEB "野次馬ライトスタンド" 「ベイ戦士よ、ブラジル音楽を聴け!東京の路地裏から愛を込めて。」


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