Bruna Caram / Sera bem vindo qualquer sorriso (ブラジル直輸入盤 1,890円税込)
50年代のラジオ歌手だった祖母、ギタリストだった祖父、幼い頃から音楽の道を志しピアノなどから修得、2007年のデヴュー盤発表以降もサンパウロ大学の音楽課程に通い続け2010年に卒業するなど、音楽に向き合う姿勢は真摯そのもの。3作目となる本作はオタヴィオ・ヂ・モライスをプロデューサーに迎え、ジャズ・アレンジが映えるジョルジ・ベンジョール作"Minha Telmosia, Uma Arma Pra Te Conquistar"や、これまた鍵盤の音色がソウル・ジャズ調の雰囲気を醸し出すジャヴァン”Flor do Medo"を慈しむように唄います。同世代のS.S.W. マル・マガリャンイスの"Especialmente Criativa" や、ダニ・ブラッキ"Peito Aberto" も採り上げ、円やかな落ち着いたヴァージョンにして提示。カエー・ホルフセンとシンコ・ア・セコでも活躍するレオ・ビアンキー二にペドロ・ヴィアーフォラの共作となる"Amanhecendo" はトニーニョ・フェハグッチのアコーディオンも入り、親密で優美さを感じさせる編成でソフトに。かと思えばマルシャのリズムの快活な自作曲などもあり、彩りは華やか。m-9 エリベルト・マルティンス作の"Segredo" でキューバ/ブラジルのハーフである女性シンガー 、マリーナ・ヂ・ラ・ヒバとデュエットをしています。アルバム・タイトルの"どんな笑顔も歓迎します"の意味通り1st の頃のフレッシュなポップ感に磨きをかけた朗らかな12曲。ペドロ・ルイスとの共作を含め、うち2曲が自身のペンによるもの。
メランコリー成分を多分に含んだコンポージングに瑞々しい川沿い音楽のエッセンスとハイブリッド・アコースティックなアレンジ感覚。声を張った時には辺りの空気をメロウに一変させる、余り有る説得力を持った良質な歌声。アルゼンチンの東北、チャコ州出身・在住のS.S.W.セバ・イバーラの新作が登場、待ってました!
SEBA IBARRA / Infrenable Paraiso (アルゼンチン直輸入盤 1,890円税込)
いまもパラナ川が傍を流れるチャコ州レシスタンシアに住み、ライヴの度にブエノス・アイレスまで長距離バスの旅に出るというセバ・イバーラ。2007年のデビュー盤以来、同郷のアコーディオン奏者ルーカス・モンソンやベース奏者マウロ・シリ、ドラムスのエステバン・ペオンらとミニマム・アコースティックなサウンドで、リトラール地方川沿いのルーツ・リズム - チャマメを新たな価値観でポップに刷新して来ました。セバ・イバーラのソロ名義で2枚、マウロ・シリとの連名で子供向け音楽プロジェクトのアルバムを1枚、制作しています。さきの1,800人規模の大劇場で行なわれたアイ・オトラ・カンシオンのショー、トミ・レブレロ、ナチョ、パブロ・グリンホト、ルシオ・マンテル、アルヴィ・シンガー... 新世代のS.S.W.たちが一同に会してオーケストラと共演するという一大企画にもただひとり、チャコからセバ・イバーラも参加を果たしています。水辺の畔、文芸的な情景模写に秀でたそのリリシズム、そしてフォルクローレのリズム・フィールを根底に持ちながらもポストロックやモダン・フォーク通過後の斬新さを感じさせる楽曲制作術は今回更に磨きを掛けられ、新たなアイディアが幾つも盛り込まれています。アコーディオンも演奏するセバスチャン・ビストルフィによるムビラ(親指ピアノ)の浮遊するトーン、フォルクローレの複合拍子に併せて載ったオリエンタルなメロディ、アーバン・モダンなリフとハーモニーが醸し出す刹那の情景。疾走する箱庭ポップの痛快さをフォルクローレの手法で裏付けたかのようなm-3 "Ay Que Pena" (=ああ、なんと恥ずかしいこと)、祝祭感を醸し出すカンドンベのリズムに載せたm-4”Entreveno"(=混乱)、より骨太に、哀愁を増したロディ・フレイムといった風情の2012年アルゼンチン川沿い音楽型ネオ・アコースティック・チューン”Verano"(=夏)、彼の地に横たわる音楽 - チャマメをリノベイトした時期を過ぎて、更に広い視野を得て。チャコ人らしいアイデンティティで様々な要素を溶け合わせていったというセバ・イバーラの新譜「Infrenable Paraiso」(=あきれた楽園)、ここに並んだ10曲にはアコースティックな奥行きも、良質で魅了する唄声も、瑞々しい詩情も、軽やかな快速テンポも、しっかり芯の通ったロジカルな技法も、すべて兼ね揃えています。
もう一本はあのイベント発のコンピレーション第2弾。
Bar Cacoi で、サラヴァ東京で、福岡で、隔月に行なわれて来た選曲会「Bar Buenos Aires」。カルロス・アギーレをはじめとする静かなる音楽、アルゼンチンやコンテンポラリーなフォルクローレという括りだけではなく、耳で聴いて共感を覚えたものをジャンルや国を飛び越えて繋げ拡げて行くという音楽本来の聴き方、価値観を我々に提示してきてくれた画期的なイベント発のコンピレーション、第2弾がリリースされました。カルロス・アギーレ&キケ・シネシのデュオによる新録音源を完全独占収録。
V.A. / バー・ブエノスアイレス 風、光、水(インパートメント国内盤 2,400円税込)
この5月のデュオ・ツアーが大成功を収めたカルロス・アギーレ&キケ・シネシの2人による新録曲「Andando」を完全独占収録。来日公演でもクライマックスに演奏され非常に人気が高かったキケ・シネシ作の名曲を、あのライヴの感動がそのまま甦る2人のデュオで録りおろしました。
美しいジャケット写真はカルロス・アギーレ撮り下ろし。bbaメンバーによる充実の楽曲解説、コラムもたっぷり収録したブックレット「ディスクガイド bar buenos aires classics カルロスやキケとつながる音楽」は保存版。
<収録曲>
01. Little Bells For Jane / Age Garcia Trio
02. Pa’l Que Se Va / Pablo Juarez
03. Orizzonte / Daniele Di Bonaventura
04. Valsa (Bebel) / Ithamara Koorax & Juarez Moreira
05. Children’s Playsong / Hilde Hefte
06. Menino Hermeto / Hamilton De Holanda & Andre Mehmari
07. Preludio Para Una Mariposa / Sebastian Benassi
08. Children’s Dance / Roberto Taufic & Eduardo Taufic Duo
09. Baleen Morning / Balmorhea
10. El Aroma De Un Beso / Mingui Ingaramo
11. Fernanda / Wagner Tiso
12. Dolphin / Eddie Gomez & Cesarius Alvim
13. The Moon, The Satrs And You / Nils Landgren
14. Snowflakes / Olga Konkova
15. Romanza / Mario Yaniquini
16. La Nina / Coqui Ortiz
17. Andando / Quique Sinesi & Carlos Aguirre *
*Exclusive New Recording