サンパウロからノヴォス・コンポジトーレスの潮流を継ぐ注目の女性シンガーがデヴュー

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    昨日のブラジル新入荷+再入荷でご案内差し上げましたように本日は5人のSSWが横一線でハイブリッドな自作自演を披露する 5 a Seco や、ノヴォス・コンポジトーレス勢が深く関与したタイトルのご紹介です。

    標題にありますようにサンパウロからノヴォス・コンポジトーレスの潮流を継ぐ注目の女性シンガー - タイース・ボニッジのデヴュー作が到着!5 a Seco でも活躍するト・ブランジリオーニがprod., ジャケット写真はカメラマンとしてのキャリアもあるダニ・グルジェルが撮影。

    Thais Bonizzi (ブラジル直輸入盤 2,000円税込)

    初めて聴いたときには、同じくサンパウロのシンガー - タチアナ・パーハの「インテイラ」でのパフォーマンスを思い起こしました。キリッと切れた唄声の存在感、そしてモダンなテクスチャーのアレンジメントに。バックは「インテイラ」やダニ・グルジェル諸作などでもお馴染みチアゴ・"ビッグ”・ハベーロ(drs)、コンラード・ゴイス(g)、ミキシングも手掛けたコンラードの兄弟ベルナルド・ゴイス(b)、ファビオ・サー(b)、ベテランの鍵盤奏者でデボラ・グルジェルの師、アドリアーナ・ゴドイの実父にあたるゼー・ゴドイ(p,key)、そしてプロデューサーのト・ブランジリオーニが g, b, cho と隈無く活躍。レコーディングはノヴォス・コンポジトーレス界隈の傑作を数多く生み出すチアゴやコンラードの持ちスタジオ、サンパウロの "オカ- カーザ・ヂ・ソン" 、NYにてマスタリング。とここまでで期待も膨らむことと思います。
     さてタイース・ボニッジその人についてですが、'89年生まれの未だ若い女性シンガーです。12歳の頃から教会で唄い始め、ギターやカヴァコを習得。さすがに今時の女性らしく、インターネット上で自国の偉大なMPBレジェンドを探求、自らの表現方法としてYoutube への投稿という手段を選ぶあたり、時代の流れを感じさせます。そのYoutubeが大手TV局へヂ・グローボのディレクターの目に留まり、ドラマのサントラへの収録というのが多くの人前に立つキャリアの始めとなります。その後、'09年にはオーディション番組「イドロス」へ挑戦しシコ・ブアルキ"Folhetim”などを披露、12人の最終選考へ駒を進めました。そして'10年のProAc 賞に輝いたタイース・ボニッジの企画によって産まれた本盤にはサンパウロ文化庁の後援が付いています。リリース記念ライヴなどの他に、エリス・レジーナ没後30周年のイベント、エリスのアルバム毎全曲を演奏するというショーにも一線級のシンガーたちと並び抜擢されています。確かに情念を感じさせる芯の通った唄いっぷりや、a や o といった母音のナチュラル・コンプレッションする円め方はエリスたちMPB 黄金期に築き上げられた良きDNAを受け継いでいるように思います。
     さて本作の内容は、ルイザ・ポッシも採り上げた韻の踏みかたが印象的な佳曲"Partiu" (ヴィニシウス・カルデローニ)、ヴィオラォンのリフでスイングする様が格好よい"Aquela Chama"(ダニ・ブラッキ)、"Vanda Va" (ダニ・ブラッキ、パウロ・ノヴァイス、ペドロ・アルテリオ)など5 a Seco (シンコ・ア・セコ)の面々が書き下ろしたブルーアイドでフレッシュなソウル・フレイヴァー溢れる佳曲群。これらは「Ao Vivo no Auditorio Ibirapuera」収録曲と一曲も被っていないというプロデューサー - ト・ブランジリオーニの意気を感じるレパートリー。そしてeギターのクリアトーンやローズ・ピアノで包み込むように企図されたサウンド・プロダクションは、インディペンデント作品の中においても相当の品位を保っているように感じます。モダン・アコースティックなテクスチャーを纏った"Logradouro" (クレベール・アルブケルケ「so o amor constroi」収録曲) や、 揺れるギター・トーンのなか唄う”Relativismo"(ダニロ・モライス&ヒカルド・テテ「A Torcida Grita」収録)の親密で拡がりゆくイマジネイティヴなモード、出展元とはひと味異なる工夫が凝らされているのも、制作者のこだわりを感じさせます。ノヴォス・コンポジトーレスのインタープリーターとしてこのタイース・ボニッジを全力でバックアップしようというミュージシャンたちの意気込みも感じられるほどに充実、漲る1枚。

    戯けたようなクラリネットと楽しげに唄い遊ぶようなアレンジが秀逸な"Dias
    de catraca" (ヴィニシウス・カルデローニ)

    TV「Record News」出演時のアコースティック・ライヴ


    アルバム収録曲とは関係ありませんが、5 a Seco の面々との貴重なオフ・ショット映像


    ブラジル新入荷+再入荷

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      春を通り越して暑いくらいですね。こんな日にはブラジルから届いた極上のサロン・ミュージックを。というわけで、昨日到着した商品の中から今回は先に新譜をご紹介。

      弦楽四重奏 (Vln,Vln,Vla, Cello) の流麗な旋律と、時にピアノの倍音にも似た滑らかな粒立ちの音色を発するギターで、クラシカルとブラジリダーヂ、ショーロの美しき間をゆったりと往来。ブラジルのインストゥルメンタル音楽で高みに達するカルテットと技巧をもったギター奏者のコラボレーション。

      Quarteto Radames Gnattali e Ze Paulo Becker / As 4 Estacoes Cariocas (ブラジル直輸入盤 2,000円税込)

      リオの豊かな文化財と日々積み重ねた歴史をインストゥルメンタル音楽のハーモニーに反映させる、というコンセプトで活動を行なって来たクアルテート・ハダメス・ニャターリと、卓越した和声の技法を持つ注目のナイロン弦ギタリスト- ゼー・パウロ・ベッケルがコラボレイトした新作。ヴィヴァルディやハイドン、ピアソラらにインスパイアされた楽曲をリオにある4つの駅になぞらえて。マウリシオ・カヒーリョ、パウロ・アラガォン、ジャイーミ・ヴィニョーリ、セルジオ・アサドのコンポジション。



      ブラジル・サンパウロからみたフランス・パリへの憧憬。ベテラン女性歌手がサンパウロの一流ミュージシャンたちとパリへの思いを唄う。ボサノヴァ名曲群の仏語ヴァージョンも収録。

      Nancy Alves / Bossamba (ブラジル直輸入盤 2,200円税込)

      タイトルの"bossamba" なるショー・シリーズを行なって来た女性歌手ナンシー・アルヴィスの1stアルバムは、ボサノヴァ・クラシコ - "O Barquinho(小舟)" や "Samba de uma nota so(ワンノートサンバ)"、"Corcovado"、"Samba Saravah" といった有名曲のフランス語ヴァージョン、同時にゼー・ミゲル・ヴィズニキがサティにオマージュを送った曲や、ウンベルト・テイシェラやアルジール・ブランキ=モアシール・ルスが遥かパリを思い描いて作った曲をシャンソンにも通ずるコンテンポラリーな方法で表現。MPBやジャズ界で活躍するフディ・アルノー(g)とベト・ベルトラミ(p)(m-1,2,9.10)、ここ日本でも知名度を確実にあげている知性的な佇まいのコンポーザー/ピアニストのアンドレ・メーマリ(m-3,11)、'70年前後から活動する女性歌手セリアとのデュオ作を発表しているヂーノ・バリオーニ(g)(m-5,6,7,8)、ガル・コスタのアルバム「Hoje」や「jazz'nbossa」などの企画盤でも知られるケッコ・ブランダォン(g)(m-4)、曲毎に異なるアレンジャー/ミュージシャンをたててサンパウロで録音されていますが、良い意味でスノヴィッシュなボサ・ノヴァのムードは全編を通して貫かれています。「フランス語の良い音楽何かないかしら」と店を訪れてくださる方、落ち着いたムードのブラジル音楽を愛する方はもとより、各種ヴァージョンを収集しているボサノヴィスタにもおすすめの1枚。

      CD収録のものとヴァージョンは違いますが、なかなかに美映像です。



      そして以下の商品が再入荷となっています。

      Debora Gurgel

      サンパウロを席巻するSSWたち - ノヴォス・コンポジトーレス育ての親にして、シンガー- ダニ・グルジェルの実母。ピアニスト - デボラ・グルジェルのソロ作。女性らしい優美な旋律と定評のある編曲スキルで、ジャズ・ピアノの技法、ブラジル音楽のリズム・フィール、クラシカルな和声も採りいれて。

      5 a Seco / Ao Vivo no Auditorio Ibirapuena (CD+DVD)

      5人の男性S.S.W.が一同に会し、一緒に演奏し唄う。それも主に自作のハイブリッドな新しいブラジル音楽を。美しい会場で繰り広げられる素晴らしすぎるショー映像とドキュメンタリーがDVDで、そしてライヴ盤CDもセット。マリア・ガドゥ、ダニ・ブラッキ、レニーニ、シコ・セーザル、イヴァン・リンスがゲスト参加!

      To Brandileone

      5 a Seco でも卓越したソング・ライティングの才と、ベースから打楽器からいろいろこなすマルチ・インストゥルメンタリスタぶりを発揮するト・ブランヂリオーニのソロ作、久々の入荷。ヂアナ・ヴィスカルヂ、タチアナ・パーハがゲスト参加。ト本人が日本からの移民夫婦に頼んで作成した日本語バイオグラフィーをお付けします。”ホルモン衝動”。

      Danilo Moraes e Os Criados Mudos

      一層の興隆を極めるサンパウロのシーンの寵児、ダニロ・モライス。エレクトリック・ギターとベースのトリオ編成に甘い唄声でアーバンに洗練されつつも朗らかさを併せ持つ最新音源。

      Coletivo Urbano Vol.1

      ダニ・グルジェルの旦那さんでドラマーとしてジャズ・タッチのmpb などを得意とするチアゴ・ハベーロと、ノルデスチのミュージシャン - ヴィセンチ・バヘートの息子でブリージンなAORタッチのmpbを得意とするSSWハファ・バヘートを発起人に、ノヴォス・コンポジトーレスやエクスペリ・サンバの人脈が多数参加したサンパウロらしい先鋭音楽のショー・ケース的作品。


      明日は上記のノヴォス・コンポジトーレス、5 a Seco の面々が関連の新譜2タイトルをご紹介します。

      Valeria Lobao / Chamada

      プロデューサーと制作にアレンジメント、ミキシング、マスタリングに至るまでを夫であるピアノのカルロス・フッシが行ない、リオ・デ・ジャネイロのミュージシャンが総勢57人参加。新世代とベテランを織り交ぜたレパートリーでしっとりとエレガントな空気に包まれた女性シンガー- ヴァレリア・ロバォン、45歳にして初のアルバムは大傑作。

      Pelico / Que Isso Fique Entre Rios

      叙情性に富んだ詩的な佇まいの唄旋律と管弦楽器+エレクトリック楽器による不思議なアンサンブルを実現した作品がこちら。

      Natalia Mallo / Quarquer lugar

      先立って入荷してきたドゥドゥ・ツダと共にカヴァー・ポップのTP4 (trash pour 4) で vo & bと活躍、現在はSinamantes としてレコーディングを進めているナタリア・マロのソロ作。アコースティックと柔らかな唄い口で人気を博したアルバムが久々の再入荷。

      Mombojo / Amigo do Tempo

      ペルナンブーコ出身らしからぬ飄々とした佇まいと、センシティヴなところへ訴えかける少しひねったコンポージング。新世代のバンドらしいレコーディング・アートが施された傑作。

      Nicola Son / Parioca

      パリジャンとカリオカをもじってパリオカ。フランス語でリオ・デ・ジャネイロの小編成サンバを体現するという面白い試みが施された異色の作品。

      アルゼンチンのジャズ・ピアノ・ソロ

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        今日は天気が良いですね。ブラジルからの貨物は午後4時着だそうで、ほっとしています。トラックをチャーターしてますので、皆さんにはお越しいただかないと!

        さて先週入荷しておりますアルゼンチンからの直輸入盤CDもこれでほぼ出揃うかたちです。あとはアップロードから漏れている再入荷タイトル、Luis Chavez Chavez とか、Ethel Koffman のみです。


        Adrian Iaies / Cuando dejo la lluvia de ser sagrada? EN VIVO EN CAFE VINILO (アルゼンチン直輸入盤2枚組 2,100円税込)

        ピアノ・トリオの活動などで Sunnyside からの世界リリースもあり、その名を知られるアルゼンチンのミュージシャン/コンポーザー - アドリアン・イアイエス。ブエノス・アイレスはパレルモ地区に散在する音楽スポットのなかでも最もホットなカフェ・ビニーロのリリースするライヴ・レコーディング・シリーズでピアノ・ソロのライヴ実況録音盤が入荷して参りました。私が目当てのミュージシャンのショーを観にカフェ・ビニーロを訪れた際も、早い夜の第1部ステージとしてこのアドリアン・イアイエスのポスターが貼ってありました。チャージも他のミュージシャンより若干お高めだった記憶がございます。コビアン"Nostalgias" やマンシ"Desde el alma"、トロイーロ"Sur" といったタンゴ作家たちのクラシコを軸に、自作、そしてスピネッタの"Laula Va"やフィト・パエス"Cable a tierra"、ビリー・ジョエル"Just the way you are" といったアルゼンチンの、インターナショナルの、ポピュラー音楽をジャズの視点で切り取ってプレイするアドリアン・イアイエスのスタイル真骨頂が2枚組で。セロニアス・モンク"Monk's mood" 、そして”Pannonica" をCD-1と2の双方で演奏しており、敬愛ぶりが伺えます。

        http://www.vinilodiscos.com.ar/catalogo/adrian_iaies/

        ルナ・モンティ&フアン・キンテーロ CAFE VINILO

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          ブラジルからの貨物がまたもや遅延していたのですが、明日の午後には届くかもしれません。せっかくのGW、しかも月末。商品に困窮しますとお店としても、輸入業に於いても死活問題ですし、なによりお待ちいただいているお客様に申し訳ありませんので、運送会社さんに拝み倒した次第です。

          さて本日はアルゼンチン新入荷からのご紹介です。

          先だって入荷した児童文学作家の朗読とのジョイント・ショー、ギター弾き語りのCartas al Rey de la Cabina (CD+DVD) で我々を魅了してくれたフアン・キンテーロ(アカ・セカ・トリオ)。2枚(2nd には8cm CDが付属するので正確には2.5枚)のアルバムをリリースしている奥方のシンガー - ルナ・モンティとの蜜月デュオ、いま最もホットなヴェニュー、パレルモにあるカフェ・ビニーロでのキャリア10周年アコースティック・ライヴが CD+DVDになりました。

          luna monti y juan quintero / 10 anos - en vivo en cafe vinilo (アルゼンチン直輸入CD+DVD 2,500円税込)

          ブエノス・アイレスはパレルモ地区に散在する音楽スポットの中でも近年ミュージシャンのセレクションやショーのクオリティで俄然評判の高いカフェ・ビニーロ。此処でショーを行ったミュージシャンの映像や音源を作品として発表するということを行なっているのですが、2月に発売されたばかりのルナ・モンティ&フアン・キンテーロのキャリア10周年作が届きました。まずパッケージにあしらわれた祝祭感を醸し出す色とりどりに連なる小旗、手が込んでいます。これは舞台の天井にも張り巡らされその下でふたり、ゲスト演奏者を交えながらギターで、打楽器で、手を変え品を変え柔らかくも洗練されたアコースティック・ミュージックを紡いでゆきます。冒頭、そして随所に挿みいれられた日常生活の一コマ。家のなかに音楽演奏と幼い娘が同列に携わりゆくさま、街なかで食材を買い求めホーム・パーティーで演奏するシーンには温かい気持ちにさせられます。本編のショーはチェロにヴァイオリンの弦楽とふたりのギターに唄の編成でゆったりたゆたうように"Caminito" (原作はオロスコ・バリエントス、「Lila」収録)を幕開けに持ってくるあたり、カラフルな小旗の演出が効いています。そして弦楽が四重奏に増えたところでアルゼンチンのトラッド曲 "la vida mia" へと続き、'03年に発表された1st 「el matecito de las siete」(アカ・セカの1stも同年発表)以来ふたりが貫き通している方法論 - フォルクローレを彼らの審美眼でモダナイズされた新鮮なものへと再構築するということを体現してくれています。自作のレパートリーを挿みながら、アルゼンチン北部の吊り太鼓を叩きながらポリフォニー・コーラスをどこまでも澄み渡った大地に響かせるような"coplas anonimas"、1st収録のキンテーロ曲"Mejor asi"ではバンドネオンが、"La que se queda"(チャーチョ・エチェニーク作)ではソロ作を発表したばかりのフアン・パブロ・ヂ・レオーネがバス・フルートで参加、たおやかな旋律でアンサンブルに奥行きと彩りを添えています。卓越したギター奏法のうえにふたりだけの見事なハーモニーを構築したり、木魚のような打楽器で向かい合ったり、カリンバとグロッケンに持ち替えたり、とアコースティック音楽のバラエティとしてはこれ以上無いのではというくらいにエンターテイメント性に富んでいます。アカ・セカのメンバー、マリアノ・カンテーロやアンドレス・ベエウサエルトと招き猫を囲み和気藹々とポリフォニー・コーラス&ボディ・パーカッションを聴かせる”lindo gatito"や、ふたりのみギターと唄で演奏する"verde romero"のシーンで浴びる割れんばかりの拍手がこのショーの美しさをものがたっています。




          マルチ・インストゥルメンタリスタ/SSWのすべてが詰まったアルバム

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            おうちに赤ちゃんが来て2日目。家内は東京での出産を英断されたために割と近所(野田市)の私の親が店仕事の合間の上の子の保育園お迎えや炊事洗濯など手伝いに来てくれていたのですが、これが生活ペースがまったく異なり、当然のように禁ギター、禁歌唱のムード。昨日からは家内のご両親が新潟から来てくれてまして、午前は自分の時間が戻って来ましたのでモノさん(赤ちゃん)のすやすや寝ている横でここのところちょっとづつ進めているデュオ作の録音を再開しました。8cm CDアルバム「en la casa」に幾曲か足してリマスタリングをしようというものです。まだ全然できあがりは見えないのですが、この録音作業をしている間はいつも(といっても希少数しか作業した経験はないですが)何と言うか耳の肥え方が違うのです。いままで店でぼうっと聴いていた音源の細かいところの気配りに気がついたり、逆に作品によってはミュージシャンが煮詰まった顔が浮かんできたりもします。なかなかに面白い経験です。


            本日もブエノスアイレスから、フォルクローレ/ジャズのミュージシャンの作品ご紹介です。
            Diego Penelas Trio / en la espalda de los dias (アルゼンチン直輸入盤 2,100円税込)

            順に遡ってゆくと、パーカッショニスタ - マリオ・グッソのここ日本でも多くの人が手にされたアルバム「Como Dibujo Agua」でナイロン弦ギターと唄で、ソングライターとしても参加。マリオ・グッソのアルバムにも参加しているシンガー- マリア・エリアとのデュオで瑞々しく現代的に洗練されたアコースティック・アンサンブルを披露した傑作「Cameleon de papel」(MDR) を'09年に、それ以前の'05年には「Atajo」(imaginary south) というアルバムをリリースしています。またセシリア・サバラも楽曲”Cameleon de papel" を「Pendiente」で取り上げ、ショーの為に独ベルリンへ共に渡航したりも。このディエゴ・ペネラスは川沿い音楽、コンテンポラリーなフォルクローレの世界で参加して来た作品 - ヘオルヒナ・アッサン「Como Respirar」、マルセラ・パッサドーレ「Danzas del viento」("Anclas de azcar"楽曲提供共)等どちらかといえばギタリストとしての性格の方が強い印象を受けますが、初のソロ名義となる本作ではピアノ・トリオとしての編成での演奏を多く試みています。またフォルクローレ界の面々によるルイス・アルベルト・スピネッタのトリビュート・アルバム「Abremente」で"Preciosa dama azul"を、「Cameleon de papel」で"fuji" をカヴァーしており、その芯の通った唄い口の節々にスピネッタの影響があることは想像に難くありません。また音楽学校でエドガルド・カルドーゾ(プエンテ・セレステ)らにハーモニー理論や作曲を師事したりもしています。
             さてこのトリオ編成ですが、ディエゴ・ペネラスの作詞作曲、ピアノやギターの弾き唄いを中心に、フュージョン・タッチのeベースを弾くギド・マルチネス(ラテン・ジャズのラティナへでも活躍)、そしてマルセラ・パッサドーレのバックやジャズ・コンボで活躍するロドリゴ・キロスのダイナミズムを感じさせるドラムスと独創性に富んだ演奏を繰り広げています。うたもので始まった曲たちも間奏ではフリー・ジャズ調のインプロヴィゼーションを展開したりと。デュオ作品に収録されていた"Cameleon de papel" はここで更に噛み砕いたヴァージョンのセルフ・カヴァーを披露。瑞々しく広がる景色を快速テンポで展開する"Catalejo"や"Sombra Cuervo" の人懐っこいメロディ、詩情たっぷりにメランコリズムを含んだ"Arena"や"Contrapeso" 、ふくよかなギターの響きに突き抜けた旋律が包まれる"En la espalda de los dias"、セシリア・サバラが詩を提供した"Espejismo"と多岐に渡る内容でディエゴ・ペネラスというマルチ・インストゥルメンタリスタ/SSWのすべてを表現。


            PR

            大洋レコードは東京・神楽坂のセレクトCDショップです。

            ブラジル・アルゼンチンの現在のインディペンデントなシーンからの輸入盤CDを中心にお取り扱い。

            東京都新宿区赤城下町10-10 東京メトロ東西線神楽坂駅1b出口3分。

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            が定休日です。 2022年5月26日、大洋レコード&Delicatessen として移転 OPEN。 11時〜18時の店舗営業、(土曜は14時~18時)。毎水曜・日曜・祝日定休とさせていただきます。

            03-3235-8825


            WEB通販はオフィシャル・サイト taiyorecord.com にて


            * information

            [以下の音楽雑誌に店主が寄稿しました]


            「ミュージックマガジン」ミナス特集にレコード・レビューを寄稿予定。(2022/6)


            FI MAROSTICA / VISÃO DO MAR (RCIP-0321 2021.6.30) ライナーノーツ


            ラティーナ2月号 (2020/1/20発売)

             

            「20年代はこの国の音楽に注目したい」


            e-magazine LATINA 「いま最も輝ける存在、サンパウロの女性シンガー、ヴァネッサ・モレーノへのロング・インタヴュー」(2022年2月23日)


            [国内盤リリースのご案内]

            Flor Sur Cello Trio, Airena Ortube & Julian Beaulieu / Un Solo Jazmin (大洋レコード国内盤CD 2022.7.23発売)好評発売中!


            SALOMÃO SOARES & VANESSA MORENO / YATRA-TÁ (TAIYO0041 2022.2.28) 好評発売中!


            VANESSA MORENO / SENTIDO (TAIYO0040 2021.6.26) 好評発売中!


            Carlos Aguirre / Canciones I 譜面集 46p(TAIYO0039 2020.12.26) 好評発売中!


            TINCHO ACOSTA (TAIYO0038 2020.8.28) 好評発売中!


            CHICO BERNARDES (TAIYO0037 2020.7.31) 好評発売中!


            MERY MURUA & HORACIO BURGOS / ROBLE 10 AÑOS (TAIYO0036 2020.6.13 release 限定盤) 好評発売中!


            ENSAMBLE CHANCHO A CUERDA / POSDATA (TAIYO0035 2018.12.22 release 限定盤) 好評発売中!


            FERNANDA TAKAI / O TOM DA TAKAI (TAIYO0034 2018.6.5 release) 好評発売中!


            TULIPA RUIZ / TU (TAIYO0033 2018.3.15 release) 好評発売中!


            PATRICIO PIETREK GRUPO / PAJÁRO AZUL(TAIYO0032 2017.12.04 release)

            好評販売中!


            ryosuke itoh e shiho - minha estrada (TAIYO0031 2017.6.24 release)

            販売中!


            [メディア情報]

            2022/5/31 (火) 15時 TOKYO FM 「The TRAD」 (パーソナリティ:稲垣吾郎) 生出演。初夏・新緑に似合うブラジル音楽を紹介させていただきました。


            2022/1/28 (金) 7:20分頃~ 放送予定 フジテレビCX系 『めざましテレビ』"なにわ男子のなんでやねん!" にて、長尾謙杜(なにわ男子)さんにブラジル・アルゼンチン音楽専門店 - 大洋レコードを取材していただきました。


            [記事掲載のご案内]

            2024年2月20日発売 雑誌「MINA(ミーナ)」4/5月号 "TOKYO MANIAC SHOP探訪"に大洋レコードの記事をご掲載いただいております。


            2022年12月 雑誌(ZINE) WAVE vol.2 “めくるめくCDの世界” 雨と休日さんやsnsでお見かけする100円CDディガーに8cm CD専門dj...錚々たる面々に混じって取材記事をご掲載いただきました。

            2021年11月20日発売、雑誌「散歩の達人12月号」神楽坂・飯田橋特集に当店が掲載されました!前回の掲載から何と8年ぶり、通算3回目の登場となります。


            2020年7月フリーペーパー 「新宿プラス vol.12」 #音楽のまち新宿 #武田真治 #saxplayer にご掲載いただきました。


            体験型アミューズメント・キッザニアの広報記事「キッザニアの窓」に大洋レコード伊藤のインタビュー記事とおすすめタイトルをご掲載いただきました。

            「親子で楽しむ、はじめての音楽」Vol.3 南米音楽



            女の子のスポーツライフをもっとファッショナブルに。「HBハミングバーズ」2018 Summer vol.14 に"Playlist for Summer"としてオススメ5作品の小さなレヴューを書いています。


            5/9発売 「POPEYE 6月号 "僕たちの好きな音楽。"」にて大洋レコードが掲載されます。川沿い音楽の取材も受けました。


            2018年1月末、神楽坂のアップデイトされた情報が満載の「帰ってきた!神楽坂本」(エイ出版)が発売されました。今回は"Culture 文化"のページに大洋レコードをご掲載いただいてます。ぜひ街ぶらショッピングのお供に。


            ひとまちっくす神楽坂「南米音楽と横浜ベイスターズと私。大洋レコードの伊藤亮介さん。」


            NUMBER WEB "野次馬ライトスタンド" 「ベイ戦士よ、ブラジル音楽を聴け!東京の路地裏から愛を込めて。」


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