ベルリンのルーツ・フォークあのバンドの新作 + アルゼンチン新入荷より
さて、標題にありますベルリンのルーツ・フォーク、あのバンドとは勿論17ヒッピーズのことです。本国ドイツでリリースされたばかりのニュー・アルバムCD、5月初旬到着予定の商品を異例のご予約にて受け付けます。
クレズマー、スラブ、ザディコ、ミュゼット、バルカンにアラブ...5大陸のルーツ・フォーク・ミュージックを果敢に採り込んだ大所帯のアコースティック楽器によるアンサンブル、独語・仏語・英語で男女混在のメンバーがヴォーカルをとり、そして世界を股にかけツアーするという、この分野では他に類を見ないほどの敬愛を集めるグループです。
17Hippies / Phantom Songs (ご予約商品 ドイツ直輸入盤CD 2,000円税込)
前作「el dorado」までの打楽器レスにも関わらずフット・ストンピンを喚起する賑わいに代えて、今作「Phantom Songs」(幽霊の歌たち)ではチェンバーの響き、室内楽のセンシティヴィティを多く取り入れています。12人のメンバーたちが織り成すアコースティック楽器のみならず、チェロなどのゲスト・プレイヤーを招き、人々の生活に於いての人間哲学が折り込まれた詩的な歌の数々。アルバムを制作していた2010年は、例年よりツアー数を控えベルリンで過ごす事が多かった17ヒッピーズ。その分、より機知に富んだアルバムとなっています。
弦楽と装飾的なダルブッカの余韻をくぐり抜ける神秘的なシャンソネット、女性メンバーのキキ・ザウアー(acc) が唄う仏語歌詞の"ton etrangere"に始まり、海辺を前にした少年の純朴な想いを北米大陸エッセンスの美しく広がるカントリー・ポップに載せて描くクリストファー・ブレンキンソップ(ukulele, bouzouki, g) 作・英語詩voの”lazy friends & promises"、アルバニアのトラッド曲を下敷きとし、中南米のフォルクロリックなリズムにブラスとアイリッシュな笛の音、家に帰らないbad boysをドイツ語で唄ったダーク(cla)作の"biese bouwe"、ブズーキの音色と-ouhh la nuit tombee-の印象的なメロディにヨーロッパの寂寥な秋冬の夜情景が浮かぶ"jolies filles”(=pretty girls)、陽気なマウンテン・ホップといった風情の"the train"...NYからキャレキシコなどで知られるJ.D.フォスターを共同プロデューサーに迎えた全13曲。おそらくはアルバムの楽曲に登場するbiese bouwe (bad boys)とjolie filles (pretty girls)を象った切り抜き加工のアートワークが施された美しいデジパックに、独語・英語・仏語・西語で歌詞対訳がついたブックレット。深みを増したアコースティック・アンサンブルで新機軸をみせる17ヒッピーズの傑作新譜。
http://17hippies.de/de/musik/phantom-songs(試聴のできるオフィシャル・サイト)
さて、以下はアルゼンチンから在庫が届いた女性フォルクローレS.S.W.の傑作アルバム。
Paula Ferre / Mujer Originaria (アルゼンチン直輸入盤 2,100円税込)
アルゼンチンの先住民、インディオへの記念碑を鍵などの真鍮製品を持ち寄り作りましょう、というプロジェクト- monumento a la mujer orijinaria の音楽面での協賛としてこのパウラ・フェレのアルバムはあります。大平原パンパの培った美しい音色とリズムを、瑞々しい唄の旋律を、じっくりとアコースティック・ギターと持ち前の慈愛に満ちた声で紡ぐフォルクローレの女性シンガー・ソングライター。シルビオ・ロドリゲスをアイドルに、10年以上もビセンテ・フェリウから共演への招待など寵愛を受けるなど、キューバ音楽とも親密な距離を保っている経歴の持ち主です。前述のプロジェクトのテーマともなっている書き下ろしの”mujer originaria"にはチャカレーラのリズムにテレザ・パロディをゲストに招き、決して色あせることのない鮮やかなテイクを冒頭で収録。"A mi hiho"ではチェロと自身のギターに唄で情緒たっぷりに、"onachaga Beagle"では本作のプロデューサであるアドリアン・オドリオソーラとのデュオで、と自作曲のクオリティの高さも然ることながら、”canto versos"やピアノのみをバックにした"junio"とホルヘ・ファンデルモーレ作品のヴァージョンの素晴らしさといったら。前述ビセンテ・フェリウに捧げた"trovador"や、"al canto de todos"、燦々と陽光が差し込む"aixa”はバニト・カバジェロ作と、キューバ音楽との蜜月ぶりを感じさせる楽曲や、ペルーのランドーのリズムによる"negra presuntuosa"(アンドレス・ソト作)など多様性もありつつ、ホメロ・マンシの"fruta amarga"をニコラス・エンリッチのバンドネオンで優雅なミロンガ仕立てにしたりも。優しく寄り添うように流れ行く美しい歌旋律には音楽愛が満ちあふれており、大切に大切に積み上げられたであろうアコースティック・アンサンブルの手触りはまるで羽毛のような柔らかさ。最終トラックとPC/MACで見られるエクストラ映像として"mujer originaria"をChicos - 子供たちが唄ったリプライズ・ヴァージョンを収録、一生懸命唄う子供たちのいたいけで可愛い姿に胸を打たれることは必至です。アルゼンチンのフォルクローレ史に燦然と輝く傑作アルバムの登場。
ホルヘ・ファンデルモーレの"canto versos"を弾き歌うパウラ・フェレのライヴ映像
- 2011.04.28 Thursday
- -
- 00:00
- comments(0)
- -
- by