小さな店、地球の裏の小さな実験音楽レーベルの商品 II
ACIDO CANARIO / IV・MUNDANO (アルゼンチン直輸入盤 2,100円税込)
アシッドを喰らったカナリア(鳥類)が酩酊した声でバンドを呼び込み、ブラジルに於いてのトロピカリズモ、チリやペルーに於いての70's レア・グルーヴなサイケ・ロック、これらも真っ青な表現を繰り広げる現代ブエノス・アイレスのバンド - アシド・カナリオ。元はセルマール・ガリン(g, vo ほか)とナウエル・クレチェ(drs, perc) ふたりのプロジェクトとしてスタートしたものですが、アルバムごとに明確なコンセプト建てを行なって、早くも本作が4作目。演奏メンバーもパーカッションにベース、鍵盤、もう1本のギターと6人編成に増加、アフロ・ビート、 カンドンベの複合リズムやレゲエのビートを採りいれたエレクトリックでサイケデリックな音楽をプレイしているのですが、これが詩・曲ともにインテリジェンス、文芸の香りを伺わせるものが揃っており、冒険的なサイケ・ロックの中にどことなくクールネスを感じさせる...そうまさしくエクスペリメンタルやポスト・ロックの視点で音楽を捉えているのです。前述のカナリアの呼び込みからレゲエのビートが効いた初めのパートが「火」、そして複合ビートとオリエンタルかつトロピカルなメロディで展開してゆくm-6 "cumbia raga"からの「空気」パートでいよいよ真骨頂に突入、次曲などではフォーキーな世界観も覗かせながら、セルマールの作品に頻出する合言葉でもある"Atalaya" (監視塔)を冠した自身たちのゴスペル隊による多重コーラスとカンドンベのパーカッションにブルーズ・ギターで異種異様なムードを作り出すm-9"cadena"からの「地球」パート、eギターで紡がれる瑞々しい構成音が、コラージュされたリズム・ボックスと地鳴りのようなボンボの上を滑りゆくm-13"nines" - m-14"lama"と連なる「水」パート、秀逸なる両曲は、多様な伝統リズムが備わっているアルゼンチンならではのポスト・ロック的アプローチです。
http://www.myspace.com/acidocanario
Zermar Garin / Ciencia Ficcion en Atalaya (アルゼンチン直輸入盤 1,890円税込)
バンド - アシド・カナリオ、そしてNoseso Recordsを主宰するセルマール・ガリンの原点。アコースティック・ギターを叩いてプリペアード・ギターの手法でリズムを紡いだり、ドラムや小物類も自身でプレイ、監視塔(Casa de Atalaya)と呼ばれるおそらくは自宅で多重録音されたローファイ・タッチなエクスペリ・フォーク作品集。半径数百mの世界、たとえば家族や恋人、友人へと捧げた小さな歌曲や、"メキシコ人の首長”、タイトル曲の”監視塔からの空想科学小説”、などユニークな視点の作品が並びます。"プレゼンテーション詩句"なる曲ではウルグアイの歌手アルフレド・シタロッサとアタウアルパ・ユパンキにガルデル、ストックハウゼンまでを並列の敬愛対象として捧げており、セルマール・ガリンの独創性、ユニークさが伝わって来ます。
http://www.myspace.com/zelmargarin
- 2011.01.28 Friday
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