ノーヴォス・コンポジトーレス直系のサウンド、S.S.W.グスタヴォ・スピノラが放つアーバンな水面のきらめき、サンパウロから。

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    先週から冷え込みますね。家族はお風邪を召したりなんだりしてますが、私は何とか大丈夫です。先日、SNSで見かけた記事から興味を持って、椎野秀聰著「僕らが作ったギターの名器」を読了しまして、面白いので2周目突入しています。この方はDJ機器で有名なVESTAXの創業者である前に、ヤマハに在籍、その後モーリス、グレコなど国内メーカーから、海外の有名ブランドに至るまでエレキ・ギターの監修を行い、ESPを立ち上げた人でもあるのです。ギターを作る木の話から、クラシック・ギターの起源に至るまでを分かりやすく紐解いてくれて、ものづくりをするには論理的な設計が不可欠であることを教えてくれています。コンサート会場で途中から音が良くなったように感じる体験は、ひと本来の耳の性質に依るものだという話など目から鱗です。かつての私のように、片っ端から中古B級ギターを買い漁る前に、どの材質で作られたものが自分の求めている音なのかを見極めてから手を出すということが大事なんですね。作り手の思いを想像しながら... いま私が気に入って弾いて居るのは、椎野さんが関わっていたかは分かりませんが、ギターといえばフォークかエレキかという70年代末から80年代初頭に、ポピュラー音楽にもクラシック・ギターの響きを、と開発されたヤマハのものです。このギターはフレット間のピッチもすこぶる良好です。以前は合板トップの機種を使っていて、鳴りすぎない感じが弾き語りをするには丁度よく感じていたのですが、野外でマイクを使わずに演ったりするうち、やはりもう少し鳴ってほしいなと単板トップの上位機種を探し求めた次第です。(といっても驚くぐらい安いです。40年前のマイナーな型なので。サドルを作り直したりはしました。)そしてそこにパリ在住のブラジル人ボサノヴィスタ、マルシオ・ファラコに教えてもらったK&Kのピックアップを個人輸入し、以前は自分で装着して故障したので、リペアショップにインストールしてもらっています。そういえば、マルシオ・ファラコもフェルナンダ・タカイもヤマハのエレガット・ギター愛用者です。「伊藤さん、ギター作ってあげましょうか」とかいう話は... ないですよね。

     

    ギターで思い出したのですが、何とも重要なことに、新商品、それも季節外れの半袖Tシャツを紹介しそびれております。

    かつて訪れたブエノス・アイレス州郊外、食材店の冷蔵庫に貼られたギター・フェスティヴァルのロゴ・マークに一目惚れした私は、交渉の末にこのステッカーを入手。これをモチーフに、昭和歌謡を彷彿とさせる字体で「わたしはギター」とメッセージをあしらった当店オリジナルの人気Tシャツ。暖色系を作りました。今回より背面右隅に大洋レコードのロゴも入れこんでおります。

    「わたしはギター」サーモン色 (2,315円+税)サイズ:S / M / L / XL (写真はXL)

    「わたしはギター」サンド・カーキ色 (2,315円+税)サイズ:L / XL

     

    考えてみれば当店はギター屋さんではないので、ブラジルから入荷したCDへとトピックを変えます。

    ノーヴォス・コンポジトーレス直系のサウンド、S.S.W.グスタヴォ・スピノラが放つアーバンな水面のきらめき、サンパウロから。

    GUSTAVO SPÍNOLA / MARES, RIOS (ブラジル直輸入盤 1,806円+税)
    '77年サンパウロ州アメリカーナ出身のS.S.W.グスタヴォ・スピノラ。ピアノ弾き語りで独創的な解釈のMPBカヴァーを含む傑作をリリースしているミナス・ジェライス出身のアンドレア・ドス・ギマランイスらに師事を受け、S.S.Wとして活動を開始。エリオ・クーニャ(drs)やデニス・タラッソ(p)ら友人ミュージシャンの参加を得て、2013年から一年がかりでレコーディングされた本作は、アメリカーナ市の助成審査に通過したものの、規定を超えるスポンサーが集まるまで時を待たねばなりませんでした。自作、カヴァー共に、歌詞の中に海や川の登場するレパートリーで形成されたアルバムは、水辺の風景の爽快なムードを醸し出すように、フルアコegやアナログな響きのep、シンプルな対旋律など洗練された音使いが為され、ほどよく甘い歌声がメロウな旋律を辿る佳曲で満たされています。現地メディアはト・ブランヂリオーニの所属するシンコ・ア・セコや、ミナス出身のS.S.W.ウーゴ・ブランキーニョら、新しい世代のS.S.W.の注目すべき存在のひとり、と紹介。カヴァーはロス・エルマーノスの「4」に収録された、ホドリゴ・アマランチ作のm-3"O Vento"、そしてハファエルとヒタのアルテーリオ夫妻が書いたm-8"Manhã de Maio"。これらをアーバンなムードのスタイルに引き寄せて好演。m-2"Para Alegrar, Dolores"など澄んだ蒼い風景が瞼に浮かび、風が吹き抜けるかのようです。現代的なMPB作品とは何たるかを実証する一枚。


    ゼー・マノエウのアルバムで美声スキャットを聴かせていた女性シンガー、イザドラ・メロ

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      ブラジル北東部出身の叙情的なピアノ弾き歌い、ゼー・マノエウ。彼の1stアルバムでサンバ・ジャズの佳曲"Cinema Nacional"をスキャットしていたのがこのイザドラ・メロ。ゼーと同じくペルナンブーコ州出身で、女優ソニア・クリスチーナと歌手である父親の家庭に育ったイザドラは、ペルナンブーコ音楽院でチェロを学び、その後ペルナンブーコ連邦大学のアート・プロジェクトで唄う機会を得て、本作をプロデュースする新進気鋭のコンポーザー、ジュリアーノ・オランダをはじめ、このアルバムに参加するミュージシャンたちと必然的に出会うことからキャリアが駆け出して行きます。

      "外箱"

      ISADORA MELO / vestuário (ブラジル直輸入盤 1,806円+税)

      現在27歳のイザドラ・メロ、自主制作のEPの高評判、建物全体でのアート・イベントの成功、ジョアン・ファルカォン(女性S.S.W.クラリッシ・ファルカォンの父)監督の舞台"Gabriela"への起用といま最も追い風に乗るアーチストですが、オフィシャルな初ソロとなるこのアルバムを聴けば、その憂いを帯びた伸びやかな唄声のみならず、すでに音楽的なアイデンティティを確立していることが手にとるようにわかります。ここに参加するバンドリン奏者ハファエル・マルケスに請われて、ショーロのバンドにも参加したことのあるイザドラは、自らの表現として打楽器類を一切含まない、詩的で親密な室内楽的方法論を採ります。コントラバスのヴァルテル・アレイラ、バンドリンのハファエル・マルケス、曲によってはアコーディオンにジュリオ・セーザル、サンパウロとオリンダを往復するプロデューサーのジュリアーノ・オランダはエレ・ボウも駆使したギターとコンポーズで、その鮮やかなセンスを見せます。サロン・ミュージックの優美さと近接効果で、情感豊かに描き出すm-8"O Demais Valia"やm-9"Canção Bonita"ではブラジルのアコースティック音楽が確実に次の世紀に突入してることを思い知らされますし、m-4"Pequena"で聴かれるムード歌謡的な男性voは父親のカウルソン・コヘイア、同郷のマヴィ・プグリエズィが作曲したm-6""Ave Darma"ではジャキス・モレレンバウンのチェロと、イザドラのキャリア形成にも貢献しているゼー・マノエウがvoでゲスト参加。

       


      再入荷案内+ブラジル北東部音楽の概念を覆したセンシヴィリダーヂ、新しい世代のSSWゼー・マノエウの新譜は美しいピアノと個性派シンガーたち揃い踏

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        *明日の18日は水曜で定休日となります。

        Yama-braの2016ベストに「2017年を占う十枚」として寄稿させていただいておりますが、その文末に挙げた注目作をまずはご紹介させていただきます。親和性の高いレゲエとのミクスチャーなど、ビートの効いたルーツ・リズムで着目されることの多かったブラジル北東部ペルナンブーコの音楽。この概念のみに捉われず、従来の音楽観をメランコリアや叙情風景の模写と美しいハーモニーで覆すことに成功したのがゼー・マノエウ。

         

        ブラジル北東部音楽の概念を覆したセンシヴィリダーヂ、感受性の豊かさと行間に潜む詩的な感情の揺れを汲み出す新世代のコンポーザー、ピアノ弾き語り、ゼー・マノエウの新譜は1st 、2nd (どちらも日本盤化)の楽曲を著名なシンガーたちが唄うというものと幾つかの書き下ろし。1月17日入荷

        ZÉ MANOEL / DELIRIO DE UM ROMANCE A CÉU ABERTO(ブラジル直輸入盤CD 1,917円+税)

        デシネさんで出ている1stアルバムでは私が解説を書かせていただきました、ブラジル北東部ペルナンブーコ出身の新しい世代のメロディ・メイカー、ピアノを弾き唄うゼー・マノエウの3rdアルバムは、歴史に名を刻むルイス・ゴンザーガの隣町出身である彼の叙情詩的で優れた楽曲を、アナ・カロリーナ、ナー・オゼッチ、エルバ・ハマーリョ、ファファー・ヂ・ベレン、チガナ・サンタナ、ジュサーラ・マルサル(メタ・メタ)、アルチュール・ノゲイラらが解釈して歌い、作曲者であるゼー自身がピアノのみで歌伴を演るという内容。書き下ろされた冒頭の"Aconteceu Outra Vez"(歌:ファファー・ヂ・ベレン)をはじめ、洗濯女の太陽という意味の1st 収録曲"Sol das Lavadeiras"(歌:エルバ・ハマーリョ)、2ndのタイトル・トラック"Canção e Silencio"(歌:アナ・カロリーナ)、同じく2ndから"Volta pra Casa"(歌:ナー・オゼッチ)、空と天候の移り変わりを話題にした母との会話から生まれた"Agua Doce"(歌:ジュサーラ・マルサル)など故郷ペトロリナを流れるサン・フランシスコ川 - 通称ヴェーリョ・シコを臨む瑞々しい風景やひとたちの 心象を描いた唄たちを、それぞれ声にアーティスティックな存在感を持つシンガーたちが真摯に向き合って表現したという素晴らしい企画。普段は5弦ギターをメインにするチガナ・サンタナや、普段は宅録的エレクトロ・サウンドのアルチュール・ノゲイラなど、意外な人選がプロデューサーであるゼー・ペドロによってもたらされているのも興味を惹きます。ラストのタイトル・トラックは、歌詞をヴァネッサ・ダ・マタが手がけ、ゼー・マノエウ自身の味わい深いスウィート・ヴォイスで唄われています。

         

        <再入荷案内>

        ブラジル・ディスク大賞をはじめ、多くの関係者の皆さんがベスト・ディスクの類に票を投じていただいておりました、ジュリアナ・コルテス、ロウレンソ・ヘベテス、アナ・クラウヂア・ロメリーノ、そして現地で rock in pressとbee hype、二つのメディア で二冠に輝いているロックバンド、ウ・テルノの3rdアルバム、話題のクラリネット奏者ジョアナ・ケイロス参加のクアルタベーなど注目の作品が再入荷祭り。

         

        DANIEL DIAS / REBENTAÇÃO

        juliana cortes / gris

        LOURENÇO REBETEZ / O CORPO DE DENTRO

        ana claudia lomelino / maeana

        daniel conti / estadia

        O TERNO / MELHOR DO QUE PARECE

        QUARTABE / LICAO #1 MOACIR(お求めやすく少々ですが、価格見直しました)

        FERNANDO TEMPORÃO / PARAÍSO

        ANDRE MEHMARI E MARIO LAGINHA / AO VIVO NO AUDITORIO IBIRAPUERA

        ORQUESTRA A BASE DE SOPRO DE CURITIBA & ANDRE MEHMARI / CD e DVD - AO VIVO



        大洋レコードは東京・神楽坂のセレクトCDショップです。

        ブラジル・アルゼンチンの現在のインディペンデントなシーンからの輸入盤CDを中心にお取り扱い。

        東京都新宿区矢来町139 東京メトロ東西線神楽坂駅2番出口すぐ。


        WEB通販はオフィシャル・サイト taiyorecord.com にて



        [お知らせ]

        Yama-Bra 2016 Bestのページに寄稿させていただきました。題して「新年を占う10枚 於大洋レコード」。こちらよりご覧ください。



        [お知らせ・その3] 大洋レコード店主夫妻のデュオ・プロジェクト - ryosuke itoh e shiho (vo,g / flute,vo) として音源制作やライヴ活動を行っています。最新作は原田知世さん初期3曲のカヴァーと日本語歌詞のボサノヴァ・カヴァー - 8cmCDREP 「Ilha mais próxima para o céu」→ お問い合わせその他メールにて

        * 店舗営業日カレンダー

        い字の日がお休みです。毎水曜・第一第三日曜・連休最終日店休

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